政府は、今国会でのTPP関連法案の成立を早々と諦めてしまったが、アメリカからは様々な情報が入ってくる。特に、米国国際貿易委員会(ITC)の報告書には驚いた。
昨年10月に合意したTPP協定のうち、コメ(主食用米)については、米国からの輸入枠7万トンに加え、従来のミニマム・アクセス(MA)米の中に中粒種6万トンの輸入枠を新たに設けるという内容だった。
中粒種のコメを作っているのはほとんどアメリカなので、この中粒種の枠は事実上のアメリカ専用枠だと思っていたが、今回、ITCの報告書で明らかになったは、この中粒種6万トンのうち8割の4.8万トンは、「文章化していない(undocumented)約束(commitments)」で、「米国に保証(guaranteed)する」とされている。
これは「密約」と言ってもいい約束ではないか。
アメリカには最大7万トンしか新たな輸入枠は認めないと国民には説明しながら、実際にアメリカに約束した輸入枠は、7万トン+6万トン×80%=11万8,000トンだったのである。
事実、ITCの文書の中にも118,000トンの新たな市場アクセスを得られるだろうと明記されている。
これにオーストラリアに約束した8万4,000トンの輸入枠を加えると、今回のTPPによる主食用米の新たな輸入枠は、11万8千トン+8,400トン=12万6,400トン≒13万トンになる。
今回、国内対策として備蓄米100万トンの備蓄期間を5年から3年に短縮することによって、年間の備蓄米の買い上げ最大数量を20万トンから33万トンに約13万トン増やすことができる。
この13万トンは、新たに増える米豪からの輸入量13万トンにピッタリ一致する。
やはり、政府は情報を隠している。
この際、「密約」も含め、すべてを明らかにすべきだ。
編集部より:この記事は、衆議院議員・玉木雄一郎氏の公式ブログ 2016年5月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。