BlockStream は、あらゆる財産権の管理及び移転の統合を目指している。今の時点ではそれが成功するかはわからない(ブロックチェーン自体が廃れる可能性もある)。しかし仮に成功した場合、その後の世界はどうなるだろうか。私なりの予想を述べる。
段階一:標準化
W3C がHTML を標準化したように、ブロックチェーン技術も標準化される。標準化に際しては、BlockStream の意向がかなり反映され、またBlockStream も標準化された仕様に沿うようにサイドチェーンを改良する。その流れに乗り遅れたサイドチェーンは、(Internet Explorer のように)徐々に衰退する。最後にはBlockStream をはじめとした少数の業者だけが残り、サイドチェーンのデファクト・スタンダードとなる。これにより、ブロックチェーン・サイドチェーン共に標準的な仕様が定まる。全てが標準化されているので、どの仮想通貨を使った場合でも、安価で迅速に取引できるようになる。
段階一:公認化
以下のいずれか一つ又は複数が、地域に応じて起こる。
- 特定のサイドチェーンが国家公認となる。
- 特定の仮想通貨(サイドチェーンと互換性あり)が国家公認となる。
- 国家公認の仮想通貨(サイドチェーンと互換性あり)が制作される。
いずれの場合も、立法化によって政府の管理下におかれる。それらは従来の通貨とペッグされており、一定のレートで互いに交換できることが政府によって保証されている。この時点で小型化された決済デバイス(例えば、指紋認証機能付きのカード。受信機にかざすことによって簡単に支払い可能)が政府によって発行されている。
段階三:法定化
多くの国で特定の仮想通貨が法定通貨となる。ほとんどの決済は仮想通貨で行われ、預貯金通帳もほとんどが仮想通貨専用になる(当然通帳も電子化され、インターネットからアクセスして使うことになる)。そのような国では現金(紙幣・貨幣)はほとんど使われておらず、一部の未発展の地域でのみ流通している。税金や年金等の給付金は、全て仮想通貨で支払われる。そのため、租税回避等の不正が困難になる。契約や権利登記も全てブロックチェーンを用いて行われ、詐欺や強盗の被害が激減する。
最初に述べたとおり、ここまでうまくいくかどうかはまだわからない。ブロックチェーンは未だ発展途上の技術であり、数多くの理論的・技術的問題を抱えている。それらは解決可能かもしれないし、不可能かもしれない。解決できたように見えて、実は重大なセキュリティホールを抱えており、ハッカー兼テロリストがその隙を突いて金を掠め取りテロ資金にするというようなSF染みたことが起こるかもしれない。
インターネットをベースとした技術の進化は非常に早い。いずれにせよ、十年以内には何らかの答えが出ているだろう。