僕が事務局長を務める自民党IT戦略特命委員会(委員長:平井たくや)は、日本政府の「世界最先端IT国家創造宣言」のベースとなる提言書を毎年つくります。それは「デジタル日本」という提言書で、最新のテクノロジーやビジネスモデルを掌握するために、数多くの企業、学会、政府からヒアリングを行い、議員間討議を経て決定されるものです。委員会には、テーマごとに下記のような小委員会があり、親会と連動しながら、幅広く、そして深く議論を行っています。自民党政務調査会という政策を議論する組織の中で、最も活発に議論することで有名な委員会です。
・サイバーセキュリティー小委員会(サイバーセキュリティの施策)
・マイナンバー制度小委員会(マイナンバー制度ロードマップの作成と実行)
・政府情報システム小委員会(政府システムの経費削減とサービス向上施策)
・社会保障システム小委員会(社会保障のIT利活用によりサービス向上施策)
・資金決済小委員会(Fintech・ブロックチェーン等の新たなプラットフォーム)
・IOT・AI及びロボット小委員会(データ標準化、利活用の施策)
・新たなプラットフォーム委員会(シェアリングエコノミーのプラットフォーム施策)
・国会におけるIT機器利活用小委員会(国会のデジタル化施策)
今年も「デジタル日本2016~まず、やってみよう!」を作成し、自民党で機関決定を行い、先ほど公表しました。https://www.jimin.jp/news/policy/132264.html
今年のポイントは、ソフトウエアの世界に共有領域と競争領域をつくり、共有領域にサービスプラットフォームを用意し、誰しもが使うことが出来ると同時に、データを横串し出来るように標準化する方針を示したことです。是非、ご一読頂き、日本のIT政策の方向性を感じ取って欲しいと思います。下記に「デジタル日本2016」の前文を掲載していますが、これは事務局長としての思いを書いたものでもあります。
「はじめに~まず、やってみよう!」
平成26年以降IoTによる「第4次産業革命」が本格化し、平成28年3月にAI(人工知能)「アルファ碁」が囲碁の世界トップクラスに勝ったように、技術進歩は益々加速度を増している。近年のIoT・AI(人工知能)・ロボット等の発展により、従来の産業・社会構造が大きく変革しつつある中、我が国は、世界の最先端より一歩遅れをとっている。このままでは日本経済の優位性が根底からくつがえされかねない。
また、サイバーセキュリティの分野ではサイバー攻撃は益々増大し、高度化しつつある。さらにIoTの本格化に伴い、ネットワークに接続されるデバイスのセキュリティも危惧されている。特命委員会では、平成27年12月8日に「サイバーセキュリティ関係予算確保に向けた決議」を政府に提出し、早期の対応を促している。
一方、この一年でITを活用したシェアリングエコノミーやFinTech、新たなテクノロジーとしてのブロックチェーン、サイバーセキュリティ保険等、新たな経済モデルの萌芽も見られる。シェアリングエコノミーは4月に発災した熊本地震で被災地支援を行うなど、新たな社会的プラットフォームとしても機能しつつある。これらの新たな経済モデルを早急に取り入れることで、我が国の諸問題解決の一助になる可能性が高い。
我々は「ITは国民の幸せのためになくてはならない。不幸せの道筋を描くものであってはならない。」との基本思想のもとで、これらの課題に対応すべく、多くの企業からヒアリングを行い、思考を巡らせてきた。 我々は、特命委員会親会及び小委員会にてシェアリングエコノミー、データ利活用推進、サイバーセキュリティ、IoTサービスプラットフォーム、子育て支援、IoT・AI(人工知能)・ロボット、マイナンバー制度、FinTech、ブロックチェーン等々について幅広くヒアリングし、議論を重ねてきた。いずれも次世代の日本に必要不可欠な議論であったと自負している。
「許可求めるより、やって謝る方が良い」Google[X]の総括責任者であるアストロテラー博士が、当委員会において、社風を説明した際の言葉であった。「まずやってみる」という企業の意識、「やらせてみる」という政治・行政の意識が、重要な時代となってきている。高度成長期の時代、かつて日本がそうであったように、チャレンジ精神、スピード感を持ちながらも多様性を帯びた社会を再構築しなくてはならない。
「デジタル・ニッポン2016」では、新たなビジネスモデル、イノベーションを規制することではなく、温かく見守りながら、最新テクノロジーを社会実装することによって、日本の強みを活かした世界最先端IT国家の実現を提言する。
編集部より;この記事は衆議院議員、福田峰之氏(自由民主党神奈川県第8選挙区=横浜市青葉区・緑区=支部長、前内閣府大臣補佐官)のブログ 2016年5月21日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、ふくだ峰之の活動日記をご覧ください。