家賃は月収の30%までとすべし、というのは定説ですよね。米住宅都市開発省(HUD)でも、適切な家賃は所得の30%と規定しています。ところが、ハーバード大学の住宅研究共同センター(Joint Center for Housing Studies)による調査では、2014年にこの30%以下を達成できなかった世帯は2130万と過去最高を更新していたというから、衝撃的。さらに、そのうち1140万世帯が所得に占める家賃の割合が50%に達していました。
では、米国の大都市に住むにあたって必要な年収はいくらなのでしょうか?スマートアセットの調査では、家賃高騰の煽りを受け全米のトップ15都市のうち30%負担が可能となる年収水準は2015年から2016年の間に13都市で上昇、3都市しか下落を確認していません。特に東から西へ人口がシフトしている最近の傾向を反映しカリフォルニア州ロサンゼルス、アリゾナ州フェニックス、テキサス州ダラスなど南西部での上昇が顕著でした。なお今回の調査でスマートアセットは適正な家賃を所得の28%とし、家賃は2ベッドルーム(2LDK)に設定しています。気になる結果は、こちら。
(作成:スマートアセットの調査結果を元にMy Big Apple NY)
やっぱり1位はサンフランシスコで21万6129ドル(約2380万円)でした。でも、サンフランシスコでの年収中央値は7万8378ドル(約860万円)ですから、多くが家賃支払い負担に喘いでいると考えられます。NYCは前年比で下落したとはいえ、15万8229ドル(約1740万円)。生活費もフロリダ州マイアミと比較しても大いに割高ですから、到底割に合いません。筆者もそう感じた一人で、帰国を決意したんですよね。特にマンハッタンの家賃で東京の生活費が賄えると知ってからは、決断は間違っていなかったと確信した次第です。
意外にお手頃な都市は、ウィンディ・シティのニックネームで知られるイリノイ州シカゴで、年収ベースでみるとサンフランシスコとNYCをそれぞれ64.8%、51.9%下回ります。南部に至ってはそれぞれほぼ5万ドル〜6万ドル台(約550万〜660万円)ですから、その違いは明白ですね!筆者の主人の家族も、家賃高騰を理由にジョージア州アトランタに引っ越していきました。南部を超える格安っぷりを発揮した都市は、ミシガン州デトロイトです。デフォルトから立ち上がろうとするモーター・シティで3万7971ドル(約420万円)、2LDKの家賃はたったの886ドル(約9.8万円)でした。そうはいっても、世帯年収の中央値は2万6095ドル(約290万円)と全米中央値の5万3482ドル(約590万円)の半分以下ですし、失業率も今年3月時点で5.6%と全米の5.0%ですから、引っ越すのはためらわれてしまいますけどね。
(カバー写真:Thomas Hawk/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年5月22日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。