昨日、米国メディア各社から、ヒラリー・クリントン氏が大統領選の民主党候補指名に必要な過半数の代議員を確保したとの報道がありました。
サンダース陣営はまだ確実ではないと反論しているようですが、もし決定となれば、民主党・共和党の二大政党で史上初の女性候補が誕生することになります。
私は期せずして、委員会で共和党のドナルド・トランプ氏が大統領になった場合の安全保障に与える影響について総理と議論をした最初の議員となりましたが、現段階でどちらが日本と国際社会にとって良いかを判断しているわけではありません。
トランプ候補の発言も少しずつ共和党の主流派に近づくようなものになってきていますし、これから2、3か月の間で両候補ともさらに言動が変わってくる可能性がありますので、まずはそれを確認する必要があるでしょう。
実は、その確認の一環として、昨日(米国6月6日)開催されたクリントン候補のロサンゼルスでのイベントを米国在住の親戚に見に行ってもらおうとチケットを3枚購入しました。
「豪華メンバー。本当は、私が行きたかったです・・・」
人気R&B歌手のジョン・レジェンドが代議員獲得のニュースを曲の間に紹介すると会場は興奮のるつぼと化し、クリントン氏の“Let’s break down the barriers that hold too many families back and build ladders of opportunity for all Americans”というスピーチには割れんばかりの拍手と歓声が発せられたそうです。どうやらクリントン氏の言葉は今までよりも力強く、自信に満ち溢れていた印象とのこと。
そのような話を聞くと、現状ではトランプ氏との支持率争いが接戦になっていると言われていますが、今後は勢いを取り戻し、再び優勢となる可能性もありそうです。
余談ですが、アーティストや俳優たちが自分の指示する候補者を明確に公表し、積極的に応援する光景は日本では見られません。
逆に「自主規制」の名のもと、放送事業者や大手マスコミ等は報道を自粛し、候補者を応援した芸能人はTV出演禁止のブラックリストに載ってしまうような有様です。現在、実質的に参院選に突入していますが、有名人たちがいつにも増して慎重に情報発信せざるをえない状況を残念に思います。
若者に政治に関心を寄せてもらう方法として教育のことがよくあげられますが(私自身も言及することが多いですが)、報道のあり方を見直すことも重要です。今ある自主規制などは撤廃し、影響力のある人物が支持する政党や候補者、自分の考え等についてあらゆるメディアで自由に意見表明できるようにすべきです。
芸能人が応援すれば良いというものではありませんが、自分たちのアイコンがオープンに政治について語っている姿を見れば、若者たちにとってもそれが「当たり前」になり、政治を語ることに後ろめたさを感じたり、萎縮したりすることが無くなるでしょう。(ポピュリズムの危険性を指摘する声もありますが、無関心によって50%を下回る投票率で政治が決まるような状況よりは遥かに健全ではないでしょうか。)
自主規制の根底には、放送法4条による政治的公平性の要請がありますが、そもそも私は、公共放送であるNHK以外にはこのような縛りはなくすべきだと思っています。
http://ameblo.jp/koutamatsuda/entry-12144384653.html
このような考えは、私独自のものではなく、日本における「表現の自由」の状況を調査する為に4月に来日した国連人権理事会の特別報告者からも示されています。
http://ameblo.jp/koutamatsuda/entry-12152088161.html
民主主義の発展のためには、政治活動や選挙運動に関する報道への規制はできるだけなくし、自由な言論活動を行えるようにすることが重要です。
あの大物女優は○○候補の支持を表明している、あのスター選手は△△候補の応援演説に入った、あの芸人は□□候補に寄附をしたetc…そのような話題が選挙期間中のTVのホットトピックスとなって、もっと皆でお祭り騒ぎのように盛り上がれるようになっても良いのではないかと選挙の度に思うのです。
編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会)のオフィシャルブログ 2016年6月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。
松田公太さんの近著「愚か者」(講談社)、好評発売中です。