6月6日(月)、豊橋市議会での一般質問を無事終えました。
翌日の新聞では3紙4記事にて、僕の質問が取り上げられました。
(名前が出ていないもの含めれば、もう1紙)
その中で、最もうれしかったのはこの記事。
LGBTの質問を取り上げてくれたのは、この東愛知新聞だけでした。
実は、質問の直前に、あるベテラン記者(この新聞でない)から、
今回、6つも質問するけど、どれがいちばん??
と立ち話的に聞かれ、迷わず答えたのがこれ。
仮に僕が記者でも、「メインはこれだろ」、と思っていたのに、結果は、
- JK広報室・・・ 3件
- ユニチカ跡地・・・ 2件
- LGBT・・・ 1件
- その他3つの質問・・・ 0件
であり、まだまだこの件に関する関心は低いものだと痛感しました。
その中で、取り上げてくださった唯一の東愛知新聞には、感謝です。
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さて、今回いちばんこだわったのは、推計でも概算(数千人~数万人という表現)でもいいから、ちゃんと数字を出してもらうことでした。
この件について、市役所とは侃々諤々の議論を交わし、結果として、数字が出たのは、最も大きな成果です。 では、以下、質問原稿より議会でのやり取り(要旨)を掲載します。
特にいちばん最後のくだりは、聞いていた方から「よく言ってくれた」という、激励をいただいたほどです。 途中を飛ばしてでも、是非ご覧ください。
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長坂質問
大きい4.LGBT等に関する現状と対応について、お聞きします。先週6月2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」といわゆる「骨太方針」に、次の記述が掲載されました。「性的指向、性自認に関する正しい理解を促進するとともに、社会全体が多様性を受け入れる環境づくりを進める。」これは国としてLGBT関連の課題解消に取り組む、という宣言であり、これらの計画に載っている以上、かなり高い確度で来年度の予算措置がなされ、何らかの事業が始まるでしょう。(中略)身体的・生物学的な性を意味するセックスや、社会的・心理的な性と言われるジェンダー、そして、同性が好きか、異性が好きか、両方好きか、逆に他者に性愛を抱かないなどの性的指向などなど、様々な性について、その多様性の認識と、それに対する寛容さが、社会に求められています。 これは豊橋市でも同じです。そこで、お聞きします。(1)LGBT等の本市の人口についてLGBT等セクシャルマイノリティーとされる方々が、本市にどのくらいいらっしゃるのか教えてください。 正確な数字の把握がなければ、推計をお願いします。(2)LGBT等に関する本市の対応についてLGBT等セクシャルマイノリティーの方々への対応や、市民がその理解を深めるための取り組みなどについて、お答えください。(3)LGBT等に関する本市が把握している、市内での対応や取り組みについて国や県、民間事業者や市民団体、学校教育の現場など、本市のもの以外で、市内で行われている対応や取り組みについて、把握しているものをお答えください。以上で、大きい4.の一回目を終わります。
まずは、(1)豊橋市に暮らすLGBT等セクシャルマイノリティ(いわゆる性的少数派と言われる方々)の数についてでございます。
本市として、LGBT等の対象となる方の人数は把握しておらず、個人情報の観点から今後も市全体での把握は難しいと考えておりますが、ある研究によると青年期・成人期のLGBT層の比率は、男性では1.0%、女性2.0%という結果が出されておりますし、ある大手民間企業による全国エリアを対象とした調査によれば、7.6%と算出されたと聞いております。これを本市の人口で計算しますと、1.0%であれば3,800人、2.0%であれば7,600人、7.6%であれば28,880人となります。次に、(2)本市における対応についてでございます。LGBT等に関する専用の窓口はございませんが、心や健康、人権などに関する電話や面接による相談業務の中で対応することとしております。ただし、これまでには該当する相談案件の実績はございません。また、男女共同参画推進事業として、高校生への出前講座「デートDV講座」のなかでLGBT等についても取り上げたこともございます。最後に、(3)本市が把握している市内での対応や取り組みについてでございます。市の人権擁護委員が名古屋法務局豊橋支局で行う「電話相談窓口」で人権擁護の観点からLGBT等に関する相談にも対応していますが、現在のところ、こちらも該当する事案の実績はないと聞いております。
続いて、大きい4.LGBT等に関する現状と対応について豊橋市にも数千人から3万人に届く程のLGBT等セクシャルマイノリティの方々がいる可能性を示す推計をお聞きしました。 しかし、現在、それに見合う対応がされているとは、言い難い状況です。(中略)
更に、豊橋市内でたまたますれ違った方からも「自分もLGBTです。応援しています」旨の言葉をいただきました。更に、「豊橋では自分らしさを出せない。みんな、浜松や名古屋に行くって言ってる。」とも。最初の言葉は、わざわざ紙に書いて、私だけに見えるようにして、伝えられました。 つまり、私を見かけ、手持ちの紙に書き、そして、私に声をかけてくれたのです。豊橋の住みづらさを象徴しています。
先ほど、推計が示されましたが、私はこれよりも少ないと考えます。 豊橋市は住みづらいからです。 様々な性を含めた、多様性への不寛容は、人口減少・流出に繋がると考えます。 住む場所を自分で選べる状況にある方々は、より住みやすい地域、おそらくは都市部へと移り住むでしょう。 つまり、逆に、多様性に寛容になることは、特に他の地域より早く寛容性を示すことは、人口減少対策、強いては、人口の流入に繋がると考えます。更に、寛容性が、地域経済の発展につながるという調査結果もあります。トロント大学のリチャード・フロリダ教授が、ゲイ指数、というものを提唱しています。教授の著作「新クリエイティブ資本論」より、引用します。「私たちの研究によると、移民や芸術家、ゲイ、ボヘミアンを受け入れ、社会経済や人種の融合を歓迎する場所と質の高い経済成長を享受している場所との間には強い相関がある。」「芸術家やゲイが定住した地域は他の地域に比べ、イノベーションや起業家精神を受け入れやすく、新たな企業を生み出しやすい環境にある。」「彼らの存在によって、その場所にはイノベーションと成長を促す特性があると伝わり、それによってさらなるイノベーションと成長が促されるのだ。」以上を踏まえ、(1)(2)(3)をまとめる形で、2点お聞きします。ひとつめ、豊橋市が、様々な性を含む多様性に寛容になることは、LGBT等の当事者たちだけでなく、まちづくりの観点から見ても重要だという認識をお持ちかどうか。ふたつめ、その重要性を認識するならば、豊橋市として今後どのように対応されていくのか。大きい4.については以上です。
豊橋市役所・文化市民部長(2回め)
まちづくりの観点に立った、本市の今後の対応についてでございます。性別、年齢、国籍などにとらわれない、多様性を認め合う社会は、誰もが住みやすい社会であり、まちづくりの観点からみても重要な考え方であると認識しております。そのような認識のもと、本市としましては、人口の多い都市部での動向や、国・県における対応をはじめ、国民世論などを注視するとともに、先進事例の研究やアンケート調査などを実施するなかで、市民意識の把握など、本市での現状を踏まえたうえで、どのように対応していくべきかを勉強して参りたいと考えております。
長坂質問(3回め・おわり)
「勉強」ということですが、そんな悠長なことを言っている場合ではありません。 本市の18歳人口は約4,000人、その7.6%にあたる、およそ300人が、豊橋市の多様性への不寛容さが原因で、毎年毎年流出している、というくらいの危機感をお持ちください。この度の閣議決定を聞いて、私は、遅きに失したと感じました。 国に先んじて、地方が独自の施策・取り組みをし、地方が国を動かす、というのが、今の時代のはずです。 この度、国に先を越されました。「国・県における対応をはじめ、国民世論などを注視」などと、国の動向を伺うような旧来型のことをいつまで言っているのでしょう。 自分たちのことを自分たちが決める、これが自治です。先ごろ策定された、第5次豊橋市総合計画にて「選ばれるまち豊橋プロジェクト」がありますが、先のLGBTの方の言葉からもわかるように、現在、豊橋は「選ばれないまち」であるという認識を強くお持ちください。先ほどのリチャード・フロリダ教授の著書に、こんな記述があります。「私は講演の仕事でいくつかの都市を回る中で、クリエイティブ時代に適合している都市とそうでない都市を区別するための簡便な方法を思いついた。 都市の指導者たちが私に好きな格好を許し、現代風のカフェかレストランに誘ってくれ、そして最も重要なことだが、私に多様性およびゲイの人々の役割について自由に話をさせてくれる場合には、そこがクリエイティブ・クラスを惹きつけ、この新たな時代に繁栄できるだろうと確信が持てる。」私は、市長が、そのような指導者であると信じています。
みなさまも、市長が「新しい時代」に適合した指導者であるかどうか、これからも、見据えていただければと存じます。
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数字の補足を。
ある研究によると青年期・成人期のLGBT層の比率は、男性では1.0%、女性2.0%
この「ある研究」は、「わが国における性別違和と異性帰属の得点分布(佐々木ら、2009)」からの数字と思われますが、
本研究では,DSM-Ⅳ-TRの性同一性障害に基づいた質問紙に対し郵送法で回答を求めた。協力者は,男性3,631名,女性4,358名である。その結果,(略)16~26歳の青年期・成人期の性同一性障害傾向については,男性1.0%,女性2.0%であった。
こちらは、性同一性障害に限っているので、LGBT層全体でも、かなり過小な数字です。 一方、
ある大手民間企業による全国エリアを対象とした調査によれば、7.6%と算出
は、広告代理店の電通が、昨年行った調査と思われます。
全国69,989名を対象に、LGBT(※1)を含む性的少数者=セクシュアル・マイノリティ(以下、LGBT層)に関する広範な調査を実施しました。
その結果、LGBT層に該当する人は7.6%、(略)となりました。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0423-004032.html
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重要なのは、正確・厳密な人数ではなく、先のブログにも書いたように、
40人クラスであれば3人程度、セクシャルマイノリティーの方がいるということです。全国どこでも。(略)豊橋市役所には、約3,500人の職員がいますので、単純計算なら、きっと250人程度の方がいらっしゃるのでしょう。 もっと言えば、十数人に1人の割合ですから、どの課にもひとりくらいいてもおかしくないわけです。理解促進は、こういうところがスタート地点です。– 速報!LGBTへの理解促進を国が閣議決定 – 愛知豊橋・長坂なおと のblog
http://nagasakanaoto.blog.jp/160603.html
そのために、今回は、この数字を市役所自らが出すことに、とてもこだわりました。
ようやくスタート地点ができたかな、という感じです。
では!
愛知豊橋・長坂なおと のblog より
プロフィール
長坂尚登|1983年愛知県豊橋市生まれ。
地元の時習館高校卒業後、東京大進学、コンサルティング会社で働き、10年間東京で過ごす。2012年にUターンし、商店街マネージャーとして、豊橋のまちなかを奔走。2013年から内閣官房より地域活性化伝道師を拝命。
2015年商店街マネージャーを退職し、豊橋市議に立候補。新人トップ当選で、現職(無所属)フェイスブックページ