最近、ココナッツオイルが流行っていると聞いた。私も知人にいわれて購入してみた。美容系の雑誌では、新たな美容オイルとして効能が紹介されている。特にファッションモデルのミランダ・カーが美容オイルとして使っていることで一躍ブームが始まった。ミランダ・カーは1日に大さじ4~5杯は摂取しているとも言われている。サラダにかけたり、ティーにいれるなど多くのアレンジ方法があるとのことだ。
メディアの注目度も非常に早かった。「あさいち(NHK)」、「世界ふしぎ発見(TBS)」でもココナッツオイルの効能が紹介された。番組内では、ダイエットや、コレストロール値を下げる、免疫を強くするなど万能的な効能があげられていた。
ココナッツオイルの流行には、医学博士メアリー・T・ニューポート(Mary T Newport, M.D.)が、アルツハイマー病を発症した夫にココナッツオイルを食べさせたところ症状が改善した体験手記『アルツハイマー病が劇的に改善した! 米国医師が見つけたココナツオイル驚異の効能』(2013年)がベストセラーになったことも影響とされている。
本ケースでは、ココナッツオイルに含まれている中鎖脂肪酸の働きがアルツハイマー病の症状改善をもたらしたと言われている。日本でもココナッツオイルで、アルツハイマー病が改善した例が報告されている。更なる情報公開に期待をしたい。
●ココナッツオイルとは
ココナッツオイルは中鎖脂肪酸に分類される。吸収が早くエネルギーとなるので体内に蓄積されにくい特徴がある。中鎖脂肪酸は体内で分解されたのちにエネルギーに変化する。効率的にエネルギーを消費するのでダイエット効果が高いそうだ。
しかし、具体的に何が影響してどのように改善したのか予防的効能についても全くの未知数であるとの報告もある。調べてみるとココナッツオイルに関する文献には賛否があることが理解できる。そして、リノール酸の過剰摂取とオメガ3脂肪酸(ω-3脂肪酸)不足によって健康を損なっている可能性が高いという情報や文献にたどり着くことができる。
リノール酸に関しては諸説がある。ひとつ紹介すると、ココナッツオイルは有効として紹介されても、サラダオイルのリスクは報じない。サラダオイルに含まれるリノール酸は加熱することで認知症の原因となる物質を発生させるという文献もある。メーカー側の更なる情報公開が求められるだろう。ココナッツオイルはそのほとんどが飽和脂肪酸で形成されている。飽和脂肪酸は代謝が速くエネルギーになりやすい脂肪であるとも言われているが過剰摂取はリスクになるとの報告がある。
※飽和脂肪酸に関しては(公財)日本食肉消費総合センターのHPを参照されたい。
●使用の際に留意すべきこと
健康や美容に関する情報には、つねに相反する意見があるものだ。一方では賞賛され、かたや一方では批判される論調が形成されていく。私たちが新しい情報に接するとき、そのことはつねに踏まえておかなければいけないだろう。ココナッツオイルには健康に有効な成分が含まれているが、その使用方法や適量が問題になってくるので正しく摂取されることをお勧めしたい。
正しい摂取にはココナッツオイルの使用方法を知らなければいけない。今回は効能を活かした書籍を紹介したい。本書には正しい使い方とレシピが載っているのでレシピ本としての価値は高い。2015ミセス日本グランプリの中野ちさとのレシピを、ココナッツ農業を営み専門家の枡田浩二が監修している。関心のある方には参考になるだろう。
『ココナッツオイル&低糖質 麗しの最強レシピ』(みらいパブリッシング)
尾藤克之
コラムニスト
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