舛添知事の辞職について

昨日の都議会総務委員会の最後に舛添知事は発言を求め、以下のように述べました:

『…私はきょうは都民の皆様、都議会の皆様にお願いしたいことがございます。それは、もし、私に対する不信任案が可決された場合には、法律上は、私が辞任するか、ないしは議会を解散するかの選択を迫られます。
そうしますと、いずれにしましても選挙ということになります。その選挙の時期が、どうしてもリオデジャネイロのオリンピック・パラリンピックのときに重なります。

私は、知事として、断腸の思いでありますのは、次期開催都市で、こういう選挙というのをリオ五輪ときにやるということは、本当にこの国家的大事業である、2020年大会にとって、極めてマイナスであり、もちろんこれは私の不徳の致すところの発端であることは、重々承知をしております。

どうか、少しの猶予をいただきたいというふうに思ってます。それは、私が知事の座に連綿としてしがみつくと、そういうことでは、ございません。私は、すべての給料をご辞退申し上げて、全身全霊、都民のため、都政のために働きたいと思っております。

そして、選挙というようなことで、リオ五輪と重なりますので、そういう混乱はどうしても、公益に、これはそぐわないと、そういう極めて厳しい判断をしているところでございます。

どうか、そういう意味で、この時期を、猶予していただいて、そして、そのうえで、私が、都知事としてふさわしくないと、そういうご判断を都議会の皆様がなさるときには不信任案を提出していただければと思います。私の思いは、そういうことでございます。』

この発言には二つのメッセージが入り混じっていると思います。

一つは「明後日までの議会中に不信任案が提出され、可決された場合は、議会の解散もありうるぞ!」というプレッシャーを与えるメッセージ。このタイミングで都議選となれば、間違いなく舛添さんを知事にした与党(自民・公明)にとっては不利な状況になりますので、中には(落選して)帰ってこられなくなる人たちも出てくるでしょう。当落線上にいる与党の議員たちは不信任案の提出を先延ばしするため、党内で画策することが想像できます。

もう一つは「有終の美を飾る段取りさえつけてくれれば、都知事を辞任します」という交渉のメッセージ。舛添さんは当初、この騒ぎがここまで大きくなるとは想像もしていなかったと思います。しかし、問題発覚から1ヶ月以上が過ぎてもなお都民の9割が一貫して辞任を求め続けている以上、さすがに辞めざるを得ないと決心したのだと思います。

つまり、リオ大会(2016年8/5~9/18)の閉会式で「旗を受け取る」歴史的なイベントを花道にしてもらえれば辞める決意をしたのでしょう。

よって、都民(都議会)が最後に考えなくてはいけないのは、舛添さんに最後に花を持たせるかどうかだと思います。

感情的には「ふざけるな」と思う人が殆どでしょう。
しかし、花を持たせることに対するリターンは、次の都知事選(場合によっては都議選)が東京オリンピック・パラリンピック(2020年7/24~9/6)の後になり、混乱を招く可能性が減るということです。

都民としての私の意見は、舛添さんと折り合いがつくのであれば、リオ後にするべきだと思います。もっとも、あまりにも直後だと東京オリ・パラの期間中に都知事選の告示が行われ、更に役人や職員の時間が割かれることになってしまいます。そして、それによって、大会運営に支障が出たり、警備システムに問題が生じてテロリストにつけ入るスキを与えることにもなりかねません。

よって、舛添さんには、都民に対し「9月24日(以降)に辞職をします」と明確に宣言してもらうのが一番良いのではないでしょうか(都知事選の告示は17日前なので、2016年9/7以降に告示できます)。

もっとも、私自身が経験してきたように、政治家同士の約束など全く意味がありません(契約書があっても、平気で破る人たちです……ご参考に→ http://ameblo.jp/koutamatsuda/entry-12139008314.html

しかし、都民に対する宣言を破ったとなれば「世紀の嘘つき都知事」として歴史に名を残すことになりますので、さすがに舛添さんもそれは守ると思います。

万が一、守らなかったとしたら、それこそ都議会はすぐにでも不信任案を提出すれば良いですし(議長又は4分の1以上の議員からの要求で臨時会を開けます)、場合によっては都民の怒りも頂点に達し、史上初の知事のリコールが実現するかもしれません。

ここまできたら、いま必要となるのは、誰が舛添さんの首を取ったかという都議会内の不信任案提出競争ではなく、何が都民・国民の為になるかということをしっかりと考えた、冷静な判断と交渉ではないでしょうか。


編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会)のオフィシャルブログ 2016年6月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。

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