米国で、銃乱射事件が絶えません。ガン・バイオレンス・アーカイブの資料では、6月12日にフロリダ州オーランドの同性愛者向けクラブで銃乱射事件が発生した後も事件が相次いでいました。年初来で143件といいますから、ほぼ毎日という状況です。
そもそも、1966〜2012年の間に世界171ヵ国で発生した292件もの銃乱射事件(FBIの定義に則ったもの)のうち米国は31%を占めるに至ります。人口では全世界の5%程度だというのに、驚異的ですね。
(作成:NCBIよりMy Big Apple NY)
国別の銃保有者でも、米国は群を抜いています。非軍人の居住者100人に対する銃保有者数でみたランキングはこちら。
米国では100人中、89人が銃保有者であるといいますから目を疑いますよね。イエメンやサウジアラビア、イラクなど地政学的リスクが高い中東諸国に混じって上位に食い込んだのは欧州勢でした。永世中立国であり徴兵制を敷くスイスは3位であるのは理解できますが、4位のフィンランドと6位で銃保有が基本的に禁止されているキプロスは謎ですよね?実は両国とも、ハンティング目的で猟銃の保有数が突出しているのです。
話を米国に戻して。
これだけ社会と銃が密接につながる米国で、銃を扱う質屋を含んだ銃小売店がどれだけ存在するか気になりますよね?
ニューヨークでは、スターバックスが3ブロックに1軒あるほどコーヒー店が大人気。しかし、こちらをみるとNYが米国ではないと言われる所以が一目瞭然です。
(出所:Co.Design/Nathan Yau)
上記の全米マップは10マイル(16km)区画ごとに切り取り、銃小売店とコーヒー・ショップの数を表しています。コーヒー・ショップが銃小売店を上回る区画は緑色のドットにあたるわけですが、東海岸並びにフロリダ州、西海岸の一角しか見当たりません。むしろ、銃小売店が優勢な区画を指すグレーのドットで覆われています。
コーヒー・ショップにピザ屋、ハンバーガー店を加えればどうなるのでしょうか?
米国を代表する飲食店を合計してもご覧の有様で、いかに銃小売店が多いかが窺い知れます。
(出所:Co.Design/Nathan Yau)
個人的には、2012年にエンパイア・ステート・ビルの前で発生した事件が忘れられません。犯行の動機が「リストラに対する恨み」だなんて、米国で解雇通知なんて日常茶飯事ですからね・・。かつてエンパイア・ステート・ビルにオフィスがあった事情も重なり、身震いしたものです。
米国でこれほど銃が浸透しているなんて、頭で想像できたとしても衝撃的ですよね。西部開拓時代を基盤とした銃への価値観がアメリカ人の根底に流れ、銃規制の強化には抵抗があるのでしょう。しかし銃乱射事件で数多くの犠牲者が血を流したことも事実であり、日本人である筆者には到底理解できません。特にCNNが紹介した数字を確認した後では、尚更です。
(カバー写真:RJ/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年6月19日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。