30にして老害にならない。

小さな市町村に官僚らを派遣する地方創生人材支援制度で、鹿児島県長島町（ながしまちょう）に派遣されてから1年が過ぎた。

その間、ぶり奨学プログラムなど長島大陸の様々な取組が全国放送や新聞の1面トップなどで取り上げていただいた。住民や事業者との信頼関係も生まれてきた。とても嬉しいことだ。

一方で、成功しかけているときこそ、身を引き締めなければならないと思う。僕が大好きな柔道でも、相手に技をかける瞬間が一番崩れる。浮き足立っては返されてしまう。

社会には、もはや老害になってしまった大御所も少なくない。何を聞いても自分が言いたいことばかりを話してしまう、自分の意見と違う意見を聴くとすぐに声を荒げてしまう。まるで会話にならない。

ふつうはそういう人からは人が離れていくが、年齢や立場、権力があるので、それでも人が集まる。胡麻をする。そして、ますます勘違いしてしまう。

老害に年齢は関係ない。100歳を超えても純粋に惹きつける人もいるが、若くして老害になってしまった人もいる。

新しいことをやろうとすると、思わぬ意見・否定的な意見を言われることも少なくない。でも、それはチャンスである。よりよいものをつくるために必要な過程だ。明るく、素直に、謙虚に耳を傾けていきたい。

そして、町民からの評価のほかに、もうひとつ大切なことがある。信頼する仲間の評価。自分が「かっこいいな」と思う仲間に、「たかちゃん、最近ださいな」とは、思われたくない。

高校や大学時代の仲間がそれぞれの分野で、活躍するのを目にする機会が増えてきた。彼らの活躍こそが今の僕の大きなエネルギーになっている。お互い高め合う仲間がどれだけいるか、それが大切だと思う。

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編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年6月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語～井上貴至の地域づくりは楽しい～』をご覧ください。