おかげさまで内輪ながら「高校生(初参政者)のための政治シリーズ」が大変好評を頂いておりますので少し続けてみたいと思っています。
今回のテーマはずばり「民主主義」についてです
【民主主義って何だ? 】
まず、民主主義の本体自体の解説はさほど難しくはありません…
「社会の決め事を人民が行なう政治の仕組みの事」
…以上です
「え、たったそれだけ? 」…ええ、これだけです。
これ以上でもこれ以下でもありません。
ただ、これに様々な「おまけ」が付くので民主主義の解説は困難を極めます。そこで今回はよく聞く質問をQ&A形式にまとめてみました。
【Q1.なぜ民主主義を守ると平和になるのですか? 】
実によく聞かれる質問です。いつもながらご批判覚悟でざっくりまとめると…
そもそも「民主主義守ったくらいで平和なんて訪れません」…これが僕の回答です。
政治体系とはサッカーで言うならフォーメーションの様なものです。4-4-2をまもっただけで試合に勝てるわけがないのです。
例えば、アメリカは建国以来一貫して民主主義国家ですが「南北戦争」という国内紛争を起こしていますし、世界最古の民主主義国家である古代ギリシアでも戦争は勃発しています。
また世界一幸福度が高いと言われるブータンは2008年に民主化(立憲民主主義)しましたが、それは現国王の意志によるもので、国民自体は旧来の王制に不満があった訳ではありません。「民主主義でなくても平和で幸福な社会だった」という事です。
だから僕は「民主主義守って平和になろう」と声高に叫ぶ方に言いたいのです
「民主主義に甘えるな! 」と
《民主主義の弱点について》
少し話題が外れます
確かに「民主主義というフォーメーション」は極めて優秀だとは僕も思います、しかし優秀なゆえに「システムが複雑で難解」という逃れられない弱点を抱えています。
だから民主主義国家にとって教育機関は極めて重要です。
ここでもし「バカが教育機関の指揮を執る民主主義国家」があったとします
するとその国は「高度な教育を受けたバカ」が蔓延する事になるので確実に崩壊します。
民主主義国家にとっては政治腐敗よりも教育腐敗の方が遙かに深刻な問題なのです。
【Q2.民主主義の反対って何主義ですか? 】
話を戻します
民主主義の対義語についての質問も結構多いのですが、これについては答えようがありません。
それはサッカーに例えるならば「4-4-2システムの反対とは? 」と質問されたり…
(スポーツに詳しくない人向けに別の比喩を用いるならば)「ホ乳類の反対って何? 」と質問されている様なものです。
ホ乳類はホ乳類です。ホ乳類の反対がハ虫類でない様に、民主主義の反対なんてないです。
また、おなじホ乳類でもヒトとクジラは全然違う生物ですし、カモノハシの様に産卵する謎ホ乳類もいます。民主主義にもホ乳類同様、国や地域によって様々な形態があります。
民主主義の多様性を現す最近の出来事だと、英国での国民投票後に起こったスコットランド独立運動や「投票やり直し署名」が僅か1日で200万も集まった事などが象徴的だと思います。
もしこれがドイツや東欧諸国なら「たとえ我々にとって不利益な結末を迎えても、不利益を受け入れるべきだ(キリッ! )」…という意見が大きかったでしょう。
フランスなら署名活動以上にデモやストライキが先行しただろうと思います。
しかし僕の知る限りの大英帝国の皆さんにとって「規則」は社会生活を円滑に行う為のツールに過ぎません。規則的にクロな案件でも納得いかなければ「紳士的な手続きを経たのちに」意を唱える事へさほど違和感ないのだと思います。
元々独立心が旺盛なお国柄でもあります。
オリンピックこそイギリスとして参戦していますが、ワールドカップや現在開催中の欧州選手権は未だにイングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの4国に分かれます
「納得いかなければ独立」という選択に関して我々日本人よりも遙かに抵抗が低いのでしょう。
今回の騒動を見て、僕は「英国人ぽいなぁ」と思いました。でもなかには「情けない」と思った方もいるとは思います。そしてこういった市民の声を手繰り寄せて政治体系を作る事こそが民主主義の本質なのだろうとも思っています。
皆さんはどう考えますか?
天野貴昭
トータルトレーニング&コンディショニングラボ/エアグランド代表
twitter : @3tamano