共産党は頑固な保守政党

参議院選挙の各党公約を比較した結果が多くのサイトに掲載されている。政治山の参議院議員選挙2016「重点政策・公約比較表」もそのひとつである。僕も、主要政党の公約を情報通信の利活用に絞って調査した。

マイナンバー(共通番号)制度を廃止するという、共産党の公約には驚いた。マイナンバーはプライバシーを侵害する恐れがあるというのが理由だ。米国では社会保障番号がプライバシーに重大な脅威を与えていると日本弁護士連合会が2007年に指摘しているのが、根拠だそうだ。

10年前の指摘を根拠にする根性はすばらしい。この間に情報技術がどれほど進歩したか、個人情報保護委員会の設置など制度がどれほど改善したかを、すべて無視している。紙の記録を基にしていたからこそ年金の未払い問題も起きたのだが、それでもかまわない。何がなんでも今まで通りと主張するのは、共産党の頑固な保守性を象徴するものだ。

民主党政権が誕生した理由のひとつは、年金の未払い問題に対する国民の怒りである。民主党政権は抜本的な改善策としてマイナンバー制度を提案し、それが現政権に引き継がれた。民主党政権が努力した成果を否定する共産党と手を組むとは、民進党の見識が疑われる。

そのほかにも、共産党の公約には、研究開発減税の廃止といった未来への投資を否定するものが見受けられた。それでは、民進党はどんな公約を掲げているだろうか。

民進党と共産党は方向が逆

マイナンバーについては、「マイナンバー制度が確実に運用され定着するよう、国民全体への周知や事業者への指導・助言等の体制整備を推進するとともに、個人情報の保護やなりすまし防止等、制度に対する国民の不安の払拭を進めます。」とある。共産党と方向性が異なることがはっきりわかる。繰り返しになるが、民主党政権が努力した成果を、共産党は否定しているのだ。

そのほか、日本の潜在能力を引き出す成長戦略として、遠隔医療、iPS細胞、人工知能の研究支援、IoT、ビッグデータの活用など、命・暮らしを守るイノベーションを支援すると公約している。

自由民主党は「第4次産業革命の先進国として、人工知能(AI)など新たな成長市場の創出と生産性革命を目指します。」と公約している。IoT利活用も、中小企業・小規模事業者の生産性向上策の中に書き込まれている。このように、自由民主党と民進党の情報通信政策に大差はない。

公明党にも、「第4次産業革命に対応するため、IoT、人工知能、ビッグデータなど重点分野の研究開発を官民挙げて推進し、2020年までに研究開発費の対GDP比4%以上を目指します。」という公約がある。自由民主党と一致し、また、研究開発を促進しようという姿勢は共産党と真逆である。各党が、IoTや人工知能をはやり言葉のように使用している点も興味深い。

調査の結果、共産党の突出した保守性が明らかになった。投票先の選択に参考にしてほしい。