登録者最多のMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)としてギネス世界記録に認定されている大人気ゲームを映画化したファンタジー大作「ウォークラフト」。私は実はこのゲームに関してまったく無知なのだが、物語の概要をザックリと表現すると、剣と魔法の世界アゼロスを舞台に、人間、オーク、ドワーフ、エルフなどの多数の種族が戦いを繰り広げる壮大なストーリーというところだろうか。
「ロード・オブ・ザ・リング」的な要素が多いので、映画ファンにはこの世界観はさほど違和感はないかもしれない。複雑なストーリーは比較的分かりやすく整理されているが、何しろキャラが多い上に、世界と世界をつなぐ入り口ダーク・ポータル、魔法の種類と効果、人間を守る守護者(ガーディアン)さえも操る邪悪な力…と、情報量が膨大なので、やはりゲームを知らない身としては、ついていくのがやっと…いう印象だった。
ファンタジーに不可欠の笑いの要素がみじんもないのもちょっと残念。しかも、本作は3部作の序章。話はスペクタクルだが物事は何ひとつ解決していないので、とりあえず続きを待つしかない。ファンタジー大作のイメージからはほど遠いダンカン・ジョーンズが監督として健闘していること、壮大な叙事詩を映像化したCGIが素晴らしいことは評価したい。
昨今の超大作映画の例に漏れず、本作にも中国資本がしっかりと投入されている。…しかし、闇組織のリーダーで悪の侵略者グルタンを、美形俳優ダニエル・ウーが演じる必要があるのだろうか?!顔はおろか、姿形も原形をとどめないキャラでは、ファンの嘆きが聞こえてきそうだ。
【55点】
(原題「WARCRAFT」)
(アメリカ/ダンカン・ジョーンズ監督/トラヴィス・フィメル、ポーラ・パットン、ダニエル・ウー、他)
(ゲームファン向け度:★★★★☆)
この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年7月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。