今回、当選者が6名に増え、日本一の激戦区といわれる東京選挙区。この激戦区で「ダーク・ホース」と噂されているのが、無所属で挑戦する元・衆議院議員の横粂勝仁氏だ。
「あいのり」に出演したことで知名度が高いが、横粂勝仁氏が多くの有権者を惹きつけるのは何故なのか。本日は、直接、横粂候補とのインタビューが実現したため、是非、横粂候補の生の声に耳を傾けていただきたい。(聞き手 岩田温)
――こんにちは。今日はご多忙の中、お時間を頂き恐縮です。今回、参議院選挙に東京選挙区から出馬されました。是非、横粂さんの今の率直なお話を伺いたいと思いやってまいりました。まず、参議院議員として、これをやる、という公約があれば教えて下さい。
横粂 私が最も実現したいのは、議員報酬の削減で、少なくとも半減すべきだと思っています。日本の国会議員報酬は諸外国の2倍の約2200万円で、6年間で約1億3200万円ももらっているのです。こんなにもらっていたら金銭感覚が狂い、国民の皆さんの税金もムダづかいしてしまいますし、何よりも、政治家みんなが議員報酬にしがみついてしまうのです。
消費税増税の負担を国民の皆さんに押し付ける一方、政治家は与党・野党一体となって自分たちの権益を必死で守っています。政治家の金銭スキャンダルも後を絶ちません。一向に実現しない政治改革をリードするため、私は議員報酬ゼロで働きます。
―― 議員報酬をカットしようという話は聞いたことがありますが、全くのゼロにしてしまおうというのは、斬新な発想ですね。
非常にインパクトは大きいのですが、幾つか疑問が生じます。
まず、議員報酬がゼロにしたら、一体どうやって横粂さんは生活していくのでしょうか? また、そういう公約が出来るのは既に財産を持っているお金持ちだけということになってしまい、貧しい人たちが政治家になれなくなるという危険はありませんか?
横粂 まず、そもそも論として私は中卒トラック運転手の貧しい家庭に育ったわけですから、貧しい人たちが政治家になれなくなるというわけではありません。
政治を志す覚悟があれば、どんな困難にも負けずに政治家になれますし、そのくらいの覚悟がなければ政治家は務まりません。
私が言いたいのは、政治で私腹を肥やしてはいけないということ、そして、政治を職業・家業にしてはいけないということです。
多くの政治家が自分の子どもに職業としての政治家を引き継がせるのは、政治家がおいしい職業だからです。私はこうした状況を変えていきたいのです。
私は他の政治家のように、長々と政治家をやるつもりはありません。
1期6年間で燃え尽きる覚悟で戦い、必ず政治改革を実現するのです。
政治を職業にして何十年も議員報酬ゼロで働くのであれば厳しいですが、私は6年間議員報酬ゼロで戦い抜くだけの準備を落選中の3年半で行いましたし、家族の理解も得ています。
それに、田中角栄氏の『日本列島改造論』のように、自らの想いと政策をまとめた書籍を出すというのも、政治家として堂々とお金を作る方法だと思います。
―― 有難うございます。何よりも横粂さんの捨て身の覚悟が伝わってきました。ところで、今回は「無所属」からの挑戦です。国政選挙に関しては、政党の公認を得た方が圧倒的に有利だと思いますが、敢えて無所属から出馬した意味はあるのでしょうか?
横粂 私は27歳から31歳までの3年半、衆議院議員を務めさせていただいたのですが、党議拘束の名のもとに政治家自らは何も考えずに法案の採決に臨む現実に危機感を抱きました。
無所属であれば、政党に拘束されることなく、真に国民のための判断ができるのです。
また、特に私が目指す政治改革は無所属でしかできません。よく無所属では何もできないと言われますが、政治改革は逆に無所属でないとできないのです。
なぜなら、与野党すべての政治家が、政治家が身を切る改革から逃げていたり口だけだったりするため、政党所属の政治家では、先輩や同僚の顔色をうかがって何もできないのです。
だから私は、無所属で徹底的に戦うつもりです。
―― なるほど、確かに「無所属」ならではの改革が存在するというお話、大変興味深いです。しかし、現実問題として、無所属の国会議員が、国会において活躍する機会はあるのでしょうか? 具体的には、議員立法を目指しても、参議院の場合、10名以上の議員が賛成する必要があったと思いましたが、こちらの問題はどのように克服されていくのでしょうか?
参考 国会法 第五十六条
1.議員が議案を発議するには、衆議院においては議員二十人以上、参議院においては議員十人以上の賛成を要する。但し、予算を伴う法律案を発議するには、衆議院においては議員五十人以上、参議院においては議員二十人以上の賛成を要する。
横粂 任期の6年間にある衆院選・参院選において、同志を増やします。
そして、まずは議員報酬1割削減の法案を提出します。私自身は報酬がゼロですから、「一割」カットでは、手ぬるいと思われる方もおられるかもしれません。しかし、この「一割」カットが現実的だと思っています。本来であれば半減等の大幅な削減を実現したいのですが、半減等の大幅削減をいきなり目指すことは、他の政治家に反対の言い訳を与えることになってしまいます。それでは現実は全く変わりません。一方、1割削減であればほとんどの政治家が反対し辛いでしょう。法案を提出しさえすれば、後はそれに反対する政治家を許さないといった世論形成を目指し、法案成立まで持っていきたいと考えております。
―― 横粂さんは自分に対して徹底的に厳しいですが、政治家としては現実主義的ですね。理想を抱きながら、現実をみつめるという姿勢、素晴らしいと思います。
ところで、今回の参議院選挙から18歳以上の若者全てに投票権が認められました。若者に向ってのメッセージがあれば、お聞かせ下さい。
横粂 現在、若者の投票率が低いという悲しい状況にあります。この現状を何としても変えていかなければなりません。今回新たに選挙権を手に入れた18歳と19歳の皆さんは全体の2%です。この若い世代の投票率が20%とかであれば、政治家に完全に軽視され、若者の想いが政治に届かなくなってしまいます。
50年後の日本に一番関係あるのが若い皆さんです。ぜひ、その熱い想いを、国会のオジサンたちにぶつけて欲しいと思います。
―― 有難うございます。
ところで、そもそも論になってしまうのですが、横粂さんが政治家を目指した理由はなんでしょうか?東京大学法学部出身で弁護士ということで、わざわざ政治家になんかならなくてもいいではないか、という意見も多いように思います。政治の世界に飛び込んだ率直な理由について教えて下さい。
横粂 私が政治の世界を志したのは小学生のときであり、父の影響によるものです。
私の父は、子どものころ学校で受けた集団予防接種が原因と思われるC型肝炎を発症し、その後、肝硬変・肝臓がんへと推移し、6年前に亡くなりました。
父は、中卒のトラック運転手で、子育てのみが趣味という人で、週に3回も病院で注射を打ちながら、それでいて家族には辛い顔を一切見せることなく、貧しいながらも家族のために一生懸命に働いていました。
そんな父の姿を見て、私は子どもながらに、当時すでに集団予防接種において針を使い回すことの危険性が指摘されていながらも、政治が命よりもお金を優先したために父は病気になってしまったのだと思い、また、父のように額に汗して働く人が報われない社会になったのも政治のせいだと思いました。だから、私は、自分自身が政治家になって世の中を良くしたいと思うようになったのです。
率直に言って、お金をもうけたいのであれば、弁護士をやっていた方がもうけられます。
しかし、私はお金もうけのためだけの人生を歩みたくありませんでした。そうではなく、子どものときからずっと抱いてきた政治改革の志を果たすため、議員報酬に一切しがみつくことなく、6年間にすべてを捧げて政治改革を実現する覚悟です。
―― 本日はご多忙の中、貴重なお時間を頂き、有難うございました。参議院の中から、新しい改革の狼煙を上げていただくためにも、是非とも、この選挙、頑張って下さい。