【映画評】インデペンデンス・デイ:リサージェンス

渡 まち子

IDR launch two sheet0606_JPN

人類が恐るべきエイリアンを撃退し、宇宙における独立を宣言した記念すべき日から20年。人類はさらなる襲撃に備えて、エイリアンが残した宇宙船の技術を転用した地球防衛システムを構築し備えていた。だが、2016年7月、人類を滅ぼすためにさらに巨大化したエイリアンは、圧倒的な破壊力をもって襲撃を再開する。世界中の大都市が次々と崩壊し、万全のはずの防衛システムも無力に。地球宇宙防衛の部長デイビッド、元合衆国大統領ホイットモア、若き戦闘機パイロットのジェイク=写真2枚目=らは、地球と人類を守るため、命がけで立ち上がるが…。

サブ1_DF-09723r のコピー大ヒットを記録したSFパニック超大作の20年後を描く続編「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」。リサージェンスとは、一度中断していたことの再開の意味だが、まさに前作のスタッフ・キャストが再集結し、再襲してきたエイリアンとの死闘を繰り広げる。破壊王ことローランド・エメリッヒが前作に引き続きメガホンを取るが、20年の間に何度も人類滅亡の危機を描き続けただけあって、映像技術の進歩をいいことに、やりたい放題で暴れまくっている。地球規模、いや宇宙規模での破壊の描写は、重力を自在に操ることで、縦方向に伸びる画期的な映像が見所。もう、こうなったら物語なんかどーでもいいワ!と言いたくなるではないか。

インデペンデンス・デイウィル・スミス不在(写真でチラリと登場)の穴をどう埋めるかが興味津々だったが、元大統領ホイットモア=写真右=に天才エンジニアのデイヴィッド=同左=と、20年前のキャストが大車輪で活躍する。さらには誰もが死んだと思ったあの博士が復活するなど、登場人物が老体に鞭打つ姿は、ゴリ押しを通り越して、痛々しいほど。終盤は、まさかの怪獣映画テイストで、もはや開いた口が塞がらない状態なのだが、ここまで大掛かりな世界の終末を大スクリーンで見せられると「モトをとった」気分で、うっかり満足してしまうのだ。

例によって中国資本に配慮した露骨なキャスティングが気になるが、美人パイロットを演じるアンジェラベイビーのりりしい美貌は要チェック。宇宙規模で破壊の限りをつくすエメリッヒ監督、次回、これを上回る超ド級の終末映画を作るには…と今から頭を悩ませているに違いない。

【60点】
(原題「INDEPENDENCE DAY: RESURGENCE」)
(アメリカ/ローランド・エメリッヒ監督/リアム・ヘムズワース、ジェフ・ゴールドブラム、ビル・プルマン、他)
(破壊度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年7月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。