(増田寛也氏の第一声で、全員で右を向いて演説を行っている模様)
石原伸晃氏「偉い人が推薦しているんだからお前らも応援しろ」ってか?
東京都知事選挙初日。増田寛也氏の第一声、与党幹部・首長のボスなどがズラズラと並んだものですね。
その中で自民党都連会長・石原伸晃氏は
「23区長会の皆様、市長会の皆様、町村会の皆様が、増田さんにかじ取りを頑張ってもらいたい、と言っていた。」(【東京都知事選】増田寛也 街頭第一声はこちら)
というフレーズで、都民に対して増田寛也氏への支持を求めていました。
第一声に臨む陣容を見ると、「俺たち上級国民が推薦しているんだからお前らも支持しろ」と言わんばかりの態度で辟易します。
政治家の応援演説に大物議員を集めて応援させることは、余程の人気者でもない限り、都市部の一般有権者には逆効果だと感じています。偉い人が「右へ倣えしろ」と言っても東京都民は必ずそうなるとは限りません。
今回の選挙で支持者の統制に躍起になっている自民党としては、第一声に上級国民の皆様を雛壇に上げる踏み絵の意味合いもあるのでしょうが、オリンピック問題などで蚊帳の外に置かれ続けている下級国民としては気持ちが良い構図ではないと思います。
「出たい人より、出したい人!」、石原伸晃氏の日本史への無理解
ところで、石原伸晃氏の応援演説を聞いていて、筆者は一瞬耳を疑う言葉が使用されてることに気が付きました。それは応援演説の最後に言い放った「出たい人より、出したい人!」というフレーズです。
石原伸晃氏は「日本史に関する知識が無い」から同フレーズを使用されているのでしょう。なぜなら、「出たい人より、出したい人!」という言葉は、戦前の日本で「選挙粛正運動」という政治キャンペーンの中で生まれて、1942年の東条内閣の翼賛選挙のスローガンとなったものだからです。
「選挙粛正運動」は元々は選挙で腐敗した政党政治の刷新を望む人々によって始められましたが、残念なことに最終的には革新官僚の手に利用されて政党政治を事実上終わらせるために一役買うことになりました。要は翼賛化していく政治の流れに抵抗した気骨ある政党人を弾圧することに繋がった運動なんですね。
つまり、石原伸晃氏が堂々と述べた言葉は、「出たい人=腐敗している政党人」、「出したい人=政府が支持する清い人物」という位置づけで、選挙時の弾圧目的で使用されてきたセリフということになります。このような言葉を何も考えずに使用する段階で政党人としての見識を疑わざるを得ません。
上記で支持団体として紹介した「市長会」「町村長会」も大政翼賛会の一部を構成していた団体です。日本史の勉強くらいしてから応援演説を行うべきだと思いますし、仮に知っていたなら尚のこと歴史認識を疑います。
また、自民党議員の親族等にまで及ぶ締め付け文書が話題になりましたが、戦前にも家族ぐるみの動員体制の構築に利用された選挙粛正婦人聯合会という組織が選挙粛正運動の過程で作られたことも併せて指摘しておきます。(ちなみに、石原良純氏が事実上鳥越氏を支持していますので伸晃氏も除名対象?笑)
初日だよ!上級国民全員集合!で良いと思っているのか?
増田寛也氏は、第一声の中で「99%の中小企業の人たちの話に耳を傾ける」「働く現場で汗を流している一人ひとりに耳を傾ける」と述べています。
しかし、報道されている通りであれば、増田寛也氏は東京都知事選挙にあたって「区長会・市長会・町村長会と面談し」「都議会自民党の推薦を受けて」「公明党に推薦を受けた」だけです。
自民党の谷垣禎一幹事長、公明党の井上義久幹事長、石原伸晃経済再生担当相、丸川珠代環境相ら国会議員約40人や都議会議員らが集結した第一声はいったい誰のためのものでしょうか。
猪瀬・舛添と2代続けて不祥事で退陣した自公推薦候補者。失われた信頼の回復に本気で取り組むつもりがあるのでしょうか。現在、東京都知事選挙で問われていることは何か、もう一度見つめ直してほしいと思います。
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