野党は人命より党利党略が大事なのか

共産党の書記局長(医師免許をもっている)が、鳥越俊太郎氏の癌は「完治」したと断定しているが、これは本当だろうか。まず鳥越氏自身が記者会見で、こう語っている。

大腸がんから始まって肺、肝臓と4回手術しました。大腸がんはステージ4でした。4期のがんを経験しました。しかし、大腸がんからは11年、最後の肝臓の手術から7年たっています。5年生存率は完全にクリアしています。10年生存率にはあと2年くらいありますが、がんになる前より、今は元気なんです。

大腸癌の手術は2005年、肝臓癌は2009年ということになる。ステージ4というのは末期癌である。その後3ヶ所に転移したのであれば、癌がさらに進行しているわけだ。手術後の生存率については、国立がん研究センターの図のようなデータがある。

20160120_05

これによれば、大腸癌を切除した場合は10年生存率は69.8%とかなり高いが、肝臓癌の場合は10年生存率は15.3%。つまり肝臓癌の手術から7年後の鳥越氏が知事の任期4年をまっとうできる確率は15%以下である。

こんな状況で「完治」ということはありえない。例えば世田谷井上病院の井上毅一理事長は「がんの転移は将来的にあるのかないのかという予測ができません。予測できる人がいるなら逆立ちしますよ。ましてや、肺や肝臓の転移となると、医者としては震え上がってしまう」という。

知人の医師に聞いても「転移した進行癌が完治することはありえない。どこかに癌細胞は必ず残っている。5年というのは単なる経過観察の目安で、医学的根拠はない」という。都知事は激職である。76歳の老人に強いストレスがかかると、免疫力がさらに低下して癌が再発するおそれが強い。

たぶん共産党にとっては、鳥越氏の生命より党利党略のほうが大事なのだろう。それがスターリン以来の伝統だが、民進党はこんな病人を酷暑の中で選挙運動に走り回らせて大丈夫なのか。また知事の任期中に彼が倒れたら、岡田代表は責任を取るのか。