海外不動産投資をする前に、FXの口座を開きなさい

海外不動産投資の投資成果は「掛け算」で決まります。外貨での投資になりますから、不動産自体の価格変化と為替レートの2つの要素によって決まってくるからです。

例えば、1ドル=100円の時に10万ドル(1000万円)で購入したアメリカの不動産が、現地で8万ドルに値下がりしてしまっても、為替が1ドル=125円になれば、円で評価した価格は1000万円のままで変わりません。逆に、価格が上がっても為替が円高になってしまえば、値上がりは円高で吹き飛んでしまうことになります。

海外不動産投資で、間違えてはいけないのは、不動産の物件を買うタイミングと為替の取引をするタイミングは、必ずしも一致させる必要はないということです。

多くの個人投資家は、不動産を買う時になって、慌てて外貨の調達を行いますが、ベストのタイミングとは限りません。また、為替レートの予想をするのは簡単ではありませんから、外貨調達のタイミングを何回かに分散することで、投資する際の為替レートを平均化できます。

スマートな為替取引を実現するのに、必要なのがFX(為替証拠金取引)です。FXというと、短期売買で高いレバレッジをかけて取引する危険な商品というイメージがありますが、私は外貨調達のツールとして使っています。

例えば、50万ドル程度の不動産投資をしようと思っているのなら、物件が決まる前から、何回かに分散させて米ドルの調達を進めます。10万ドルの取引をタイミングを分けて5回すれば、合計で50万ドルのドルの買いポジションを作ることができます。

資金が必要になるまでは、FXの米ドルの買いポジションとして、置いておき、資金が必要になったタイミングで「現受(げんうけ)」と呼ばれる方法で、資産をドルのまま受け取ります。その資金を銀行経由で海外送金すれば、為替レートは物件を購入するタイミングではなく、それぞれのFX取引をした時のレートで押さえることができるのです。

だから、海外不動産投資を考えているのなら、物件を探すことと並行して、外貨の調達を進めるための環境整備の準備を行うのが良いと思います。

FX会社の為替の取引コストは銀行に比べ、圧倒的に有利です。FXを使ったコストと為替取引タイミングの分散によって、海外不動産投資の成功の可能性を高めることができるのです。

海外不動産投資に興味がある方は、是非8月27日に開催する「第4回世界の資産運用フェア」(写真は前回の模様)にいらしてください。海外不動産物件の紹介だけではなく、失敗しないための投資のヒントをお話いたします。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年7月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。