盲導犬男性転落、私たちに問われる「優しさ」 --- 西村 由美

寄稿

地下鉄青山一丁目駅の盲導犬を連れて歩いていた視覚障がいの方の事故について、いろいろ思う所がありました。

JALの客室乗務員をしていた当時、盲導犬と視覚障がいの方が乗ってきた時の対応について訓練で勉強しました。

私は視覚障がいの方が乗ってきた事はあっても盲導犬と一緒にお客様には出会う事はありませんでしたが、ここで初めて私は視覚障がいのお客様に対して少し学習しました。

私には視覚障がいの娘がおり、同じ障がいを持つ方やご家族の方と交流させていただいていますが、駅のホームで転倒して、電車にひかれてしまったという方が1人や2人ではない事実があることを知りました。

「ほぼみんな危険な思いをしてる・・・」

今回のニュースで現場を見たわけではないので偉そうに言えないのは事実なのですが、黄色い点字版の内側を歩いていたという目撃証言があると聞き、だったら誰か一人でも

危ないですよ」と声をかけてあげたら

「助かったのではないか・・」と悲しい気持ちになりました。

しかし

弱者に対する対応について昔から、障がい=支援学校という通常学級と分けての進学だったので誰もその方法を知らないのも事実です。(どう接していいか分からないとよく聞きます)

ちなみに昔から視覚障がいの方たちは

「危ないから外でてはダメ。行くならだれかを待つ」という時代があったそうです。

常に相手がいないと何もできない相手の都合に全部合わせなければいけない

そんなストレスから

とにかく死んでもいいから一人で外を出歩きたい

と言って外に一人で出始めてたというお話したくさん聞きました

時代は変わり、考え方も変わり、そして便利なグッズはたくさん生まれましたが
やはり最後は人であり、人のやさしさで解決できる事は、多いと感じます。

「日本人は優しい」などと、テレビでは日本を持ち上げ傾向がありますが、そうした番組を見ても腑に落ちません。知らない人に対し、咄嗟の場面でも優しさを発揮する勇気は、まだまだ全然足りないのではないでしょうか。(学生時代、留学先のオーストラリアでは、弱者に対する優しさがもっとあったと感じるからでしょうか)

もちろん、優しくされて「有難う」の気持ちを視覚障がいの方も持つ事が大切です(残念ながら優しくされて当たり前と思う障がいを持つ方もいるそうなので・・・)。

娘が大きくなる時は、もっともっとお互いが思いやって過ごせる社会を作っていきたいと感じます。

そう考えると、娘を普通の学校に通わせることも考えてしまうこの頃です。

 

西村由美  株式会社美キャリア 代表取締役社長

関西学院大学卒業後、株式会社日本航空インターナショナルに客室乗務員(CA)として入社。2009年、エアライン業界就職・転職サポートスクール「キャリアージュ」を起業。結婚、出産を経て、現在は視覚障がいの長女を育てながら活動中。