LCCで「○○ありますか?」のベスト5とはなにか

写真は丸山。現役CAであるため顔写真は非公開としました。

LCC(Low-Cost Carrier)とは、効率化を極限まで向上させることで低価格なサービスを提供する航空会社のこと。一般的に考えられるレベルを超越した、徹底的なコスト削減が実施されます。最初に、LCCの知られざる実態についてご説明しましょう。

■LCCという究極の企業努力

LCCのコスト削減意識は徹底しています。本社機能は最小限にとどめ、プレハブ仕様で低コスト化を実現しています。また、従業員の椅子からシャープペンの芯にいたるまでコスト削減の意識は徹底しています。

ギャレーを縮小化して座席の軽量化にもつとめ、空港と飛行機の移動にはバスを使用します。乗客の誘導においても、大手航空会社では考えられない人海戦術を強いられます。こういった背景があるからこそ、数十億円のジェット機の運用路線に数千円のチケットで人を乗せる事業が成立するのです。

FlightStatsによると、2015年の定時到着率で日本航空は89.44%で世界No.1です。全日空は88.88%で世界3位です。LCCではAIR DOが86.37でトップですが、ほかのLCC各社は振るいません(FlightStatsでは、AIR DOはLCCに分類)。

定時を実現するためには、グランドハンドリング、整備、クルーのスキル全てが機能する必要性があります。そして、確固たる組織文化が社員に浸透することも必要です。LCCは究極の企業努力の姿なのです。

よって、乗客による「航空」の使い分けが重要になってきます。LCCは既存の大手航空会社とは異なるものと考えたほうがよいでしょう。これらを踏まえて、選択肢を持つボールは乗客にあると考えなくてはいけません。

■LCCの「○○ありますか?」ベスト5

LCCには普通に常備されているものがなかったり、販売用とされていることが少なくありません。今回は、現役CAの丸山美子さん(仮名)に、乗客からの「○○ありますか?」のベスト5について聞きました。

5位:「荷物上げてもらえますか」
LCCに限らず、乗客の荷物を持ち上げることを禁止している航空会社があるので注意が必要です。特に外資のクルーは、重い荷物を上げていると腰に負担がかかることから、クルー生命が危ぶまれると認識しています。自分で上げられない荷物は機内に持ち込まないほうが無難かも知れません。

4位:「席の移動できますか」
知人(会社の同僚)と離れてしまったので、一緒に座れるように席を替えてもらいたい。これもLCCに限らず多い質問です。まず、CAには乗客の座席を変更する権限はありません。このような乗客の要望を聞いていたら際限が無くなるので原則NGです。

3位:「お水ください」
国内・海外を問わず、多い要望です。「喉が渇いたんだけど水もらえないかな?」。しかし回答は「Sorry!買ってください」になります。無償での提供はしていません。

2位:「書くものありますか」
海外路線では、各国に入国する際に、その国に必要な入国書類を書いていただくように機内で、用紙を配ることが義務づけられています。用紙はペンで書いてもらうのが原則です。フルサービスの航空会社では、無料でペンを差し上げていますが、LCCでは差し上げるための無料ペンは用意していません。

1位:「ブランケットありますか」
特に女性の方、ご年配のお客様からの要望が多いです。しかし基本は積んでいませんので、ないことを伝えると「わかりました」と納得される方が多くなりました。持ち運びに便利な足元にかける小さなひざ掛けを持参するとよいでしょう。

■移動時間を有意義なものにするために

LCCの機内では、CAがいつも慌しくしています。現在は、A320、B737という小型機種が主流です。レガシーも同等な機種を持っています。丸山さんが乗る機種には、CAが4名乗っています。大手航空会社であれば、同サイズの機種には6名のCAが乗っているそうです。

「LCCではCAの人数が限られていますが、遠慮することはありません。用事があればコールボタンを押してください。CAは空の旅のプロフェッショナルとして、お客様の要望に答えるはずです」(丸山)

如何でしたか?皆さまの貴重な移動時間を有意義なものにするための、参考にしてもらえれば幸いです。

尾藤克之
コラムニスト

PS

7月26日開催の「第2回著者発掘セミナー」は好評のうちに終了しました。多数のご参加有難うございました。なお、次回以降の関連セミナーは8月末頃に公開する予定です。