主婦がオシャレと教育の悩みを解決する方法とは

尾藤 克之

写真は講演中の出澤希帆

アパレルの販売員ほど適性が求められる職種はないだろう。オシャレやファッションに関心があったとしても、休みが取り難く薄給でキャリアパスが描きにくい販売員は、決して楽な仕事ではないからである。

パーソナルスタイリストとして活動する、出澤希帆(以下、出澤)は、アパレル業界で販売員など16年のキャリアを経て独立している。現在は、仕事や子育てをしながら、オシャレと教育の悩みを解決する「ファッション×エデュスタイリスト」を提唱している。

■ 販売員という職種の難しさ

出澤は16年間のアパレル経験のなかで、販売員の考え方、お客様の不満を耳にしてきたそうである。そのなかでも、販売員に対する不満として共通している要点があるそうだ。
(1)聞いてもいないことをひたすらしゃべられる
(2)似合う、似合わないを言わない
(3)付いて来るので、落ち着いて買い物ができない

「お客様が知りたいのは、その商品がどれだけ人気で、残りあと何点しかないということではありません。私に似合うのかどうか。その服を着ることで求めている姿(仕事できちんとしてみえる、やせてみえる、顔映りがよくみえる等)になれるかどうかです。」(出澤)

このような不満を聞くと、お客様の意向に応えられていない販売員が多いことに気がつく。接客をされるのが嫌で買ったものの「うーん、イマイチ」というケースも少なくない。この、「うーん、イマイチ」を感じると、不満になり足が遠のいてしまう。

「私は、お買い物が楽しい!と思うお客様が増えて、アパレル業界が元気になって欲しい、お店に足を運ぶ方が増えてほしいと願っています。ところが、お客様がしてほしいサービスとお店で行われているサービスとの間にズレがあることを実感しています。」(出澤)

これは、私にも経験があるが、試着をしたら購入しなければいけないような圧力を感じたことはないだろうか。また、試着をしても販売員は似合わないとは言わないものだ。サイズが小さくても「このジャケットはタイトに着ても似合いますね」「スペンサーっぽくてお似合いです」などと言われる(実は私はゆったり目が好みである)。そんなやり取りをしているうちに、お店からは足が遠のいてしまう。

「低価格競争やネットショッピングの成長などで、お店の方々は本当に大変な毎日を過ごしていらっしゃると思います。『このお客様を逃したら今日はもうダメかもしれない』、そう思って必死になってしまう気持ちもわからなくはありません。しかし、頑張っていることが逆にお客様の足を遠ざけることになっているとしたら勿体無いことです。」(出澤)

「初めて会った人が相手の話を一切聞かず、ひたすら自分の話ばかりをしていたら誰も心を開こうとは思わないでしょう。興味の無い話だったらなおさらです。しかし、そのようなアプローチをしている人が非常に多いのです。」(同)

■次の残念なケース

次のケースをご覧いただきたい。これは、お客様と販売員のやり取りだが、どこが間違っているか分かるだろうか?

※お店に、年配の女性が来店した際のシチュエーションです。

お客様:「これ、私みたいなおばあさんでも大丈夫かしら?」
販売員:「大丈夫ですよー。どんな服にも合わせやすい色ですし。」

まず、「私みたいなおばあさん」。これは自らを謙遜しているのであって、本気で言ってるわけではない。出澤は、この場面に遭遇したことがあり、とても残念な気分になって店を出たそうだ。

「もしあなたが『髪切り過ぎて失敗しちゃった』と彼氏に言って、『ホントだね』って言われたらどう思います。本心は『そんなこと無いよ』って言って欲しいのではないでしょうか。お客様との会話は共感が大事、なんてよく聞きますが、共感してはいけないポイントもあるのです。」(出澤)

お客様は「とってもお似合いな1点が欲しい」と考えている。どうでもいい1点を勧めたり、いい加減な対応では、満足させることはできないのである。

■ 本日のまとめ

出澤は、「主婦は、妊娠、出産を期にオシャレ迷子になる人が多い」と述べている。ファッションも学びも一生続く付き合いなので、楽しみながら継続して欲しいとのことだ。

「私は、女性らしさや、年齢に合ったオシャレを楽しむためのアドバイスをしています。いつも心がけているのはオシャレのハードルを下げることと着こなしの選択肢を増やすことです。オシャレって難しいなを、これならできるかもに変化させるのです。似合う似合わないの二択ではなくこんな着こなし方もできるんだ!オシャレって楽しいかもと思っていただくことが大切です。」

尾藤克之
コラムニスト

PS

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