「女系天皇の是非は悠仁さまのあとまで封印を」というアゴラに私が書いた記事は、おかげさまで専門家や政治家にも好評だった。とくに、間もなく満10歳の誕生日を迎えられ、着々と帝王教育が進んでいる皇位継承予定者である悠仁さまを廃嫡するというのは、穏やかでないというのは国民が広く共感する点だと思う。
そのことと関連して、本稿では、女帝・女系を支持する人は、その配偶者の扱いについてなんらのビジョンも持っていないということを指摘し、具体的な解決策について論じたいと思う。
歴代天皇のうち女帝は10代8名だが、4人は天皇ないし皇族の未亡人で、4人が未婚だった。つまり、女帝の夫というのは出現したことがないのだ。また、女性皇族は皇族以外との結婚で皇室を離れるので、民間人の男性が皇族になったこともない。
つまり、もし女性皇族が結婚後も皇室に残ることを認めるとすれば、その夫の扱いはまったく前例がない世界となる。もちろん、旧宮家の男性と皇族女性が結婚するならば、男性の皇族への復帰という形をとればいいのだから問題は少ない。
そういう方策を提案する人もいるが、そうでなくとも、皇族は近い血縁関係のなかで婚姻を繰り返した弊害もあり、あまりお勧めでない。
そうなると、平民の男性を女性宮様の配偶者にして妃殿下たちと同じように皇族扱いするべきかというと、国民感情としてバリアはかなり高いし、だいたい、女性宮様と結婚して皇族になりたいと思う若い男性、また、その親はかなりの野心家である可能性も強い。
そうすると、皇族にはするが、殿下の称号を与えないし公務などしていただくのも限定した形にするという方法もあるが、妃殿下たちとのバランスの悪さは否めない。
そこで、私が以前から提案しているのは、まず、公務については、結婚された女性皇族や旧宮家の方々に任期制の宮内庁参与のような形で分担してもらうと言うことだ。
そのことで、皇室と結婚後の皇族女性や旧宮家との絆や交流を深めてもらえるし、経済的な待遇を確保できる。
断絶宮家に猶子を入れて復活させるのが妥当
次に、皇位継承者の確保のためには、旧宮家に男性を猶子を入れるようなかたちで、継承させるのが現実的だ。
そのなかから、数人を現存の宮家、あるいは秩父宮や高松宮家を継いでもらって、悠仁様が天皇になられた時代の皇族を形成すればいいことだ。そして、残念なことに悠仁さまの男系子孫が得られなかったら、そのなかから、継承者を選べば良い。
海外の例から言っても、日本の皇室の歴史においても、かなり遠い縁を求めて継承者をきめるときは、血縁関係の近さだけでなく、本人の年齢、家族状況、資質を総合的に判断して決めた方が無難だ。選定は皇室会議の機能を充実して決めればいいことだ。
いずれにせよ、宮内庁参与としての扱い、ついで、宮家の猶子としての継承といった慎重な手順を踏んで、かつ、今上陛下に近い女系と旧宮家の男系男子といずれもに配慮した解決を求めていかないと、皇統の権威は守れないと思う。
また、宮廷文化研究所といったものを宮内庁に設置して、システマチィックに帝王学を学べる仕組みをつくって宮内庁職員の研修や皇族と結婚する妃殿下候補や皇族予備軍の教育もしたほうがよい。妃殿下になられる方への教育も絶対に改良の余地がある。もし、研修の過程で自分に無理だと思われたら、止められる方がなられてから戸惑われるよりましだろう。
※画像は佳子内親王(宮内庁サイトより、アゴラ編集部)