「老後破綻」は「卵を産むニワトリ」3羽で回避する

内藤 忍

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「60歳から毎月20万円入る術」の見本が出版社から届きました(写真)。書店に来週後半から並ぶことになります。

この本は20代、30代の人が読んでも良いですが、特に読んで欲しいのは「40歳以上の資産運用の未経験者」です。その理由は老後のお金の問題にあります。「下流老人」「老後破綻」といったシニアになってからの経済的な問題がクローズアップされています。その中のかなりの部分は、老後になる前に経済的な準備を入念にしてこなかったことに原因があると思っています。

シニアになってから経済的に頼りになるのはまとまったお金よりも、定期的に入ってくる収入です。具体的に言えば「1億円の預貯金」よりも「毎月20万円の定期収入」なのです。

60歳でもし1億円を持っていたとしても、500万円使ってしまえば、9500万円に減ってしまいます。まとまった現金は使えば使うほど減っていきますから、自分の人生がどこまで続くかわからなければ、いくら持っていてもお金が無くなる恐怖から解放されません。

しかし、家賃収入のように毎月定期的に入ってくるお金なら使ってしまっても良いのです。空室になったり将来収入が目減りするリスクはありますが、翌月になればまた同じ金額が手に入るからです。このような「卵を産むニワトリ」を手に入れておけば、老後のお金の不安からかなり解放されることができます。

毎月20万円としたのは、老後のゆとりある生活には毎月35万円必要とされていますから、年金との差額の20万円を自分で毎月用意しなければ「老後の楽園生活」は実現できないからです。

具体的には2000万円で家賃が管理費など差し引いて75,000円入ってくるワンルームマンションを3戸保有すれば、毎月225,000円の収入が期待できます。卵を産むニワトリを3羽手に入れれば、ゆとりある老後が実現します。

では、40歳で資産ゼロからはじめて、60歳から毎月20万円入る術はあるのか。簡単にできるとは言いませんが、実現する方法はあります。もう少し自己資金があれば、さらに余裕をもって毎月20万円入る仕組みを構築することができます。保有資産500万円、1000万円、3000万円だったらどうすれば良いかも、書籍の中でシミュレーションしています。

昨年出版して10万部のベストセラーになった「初めての人のための資産運用ガイド」は、主に20代、30代の人たちを対象に、主にインデックス運用で長期分散投資をして、資産を構築する方法を解説しました。若い世代には、金融資産を使う方法も不動産を使う方法も資産運用に選択肢があると言えます。しかし、年齢と共に資産運用の選択肢は狭くなっていきます。時間が無くなってくるからです。

私自身は50代ですが、不動産を使った「チャリンチャリン投資」を主体として、金融商品による「コツコツ投資」も並行して進めています。もし後者だけだったら、お金の不安は解消できませんでした。

投資に今までご縁が無かった人、お金を借りて不動産投資するのは危ないと思っている人に是非お読みいただきたい一冊です。

<参考図書>
「60歳から毎月20万円入る術」
「初めての人のための資産運用ガイド」

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年9月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。