入札に支障だから過去の予定価格は非開示、という謎理論

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

先日ブログにて報告した海外視察経費に関する「黒塗り資料の中身」、非常に大きな反響をいただきまして、地上波のニュースにいくつも取り上げていただきました。

特に昨日のテレ朝・モーニングバードの特集は長時間&詳細で、大きくフォーカスしていただけたことに感謝です。一人でも多くの都民・国民に実態を知っていただくためには、やはりテレビの力が一番ですからね。

過去記事:東京都と舛添要一氏がひた隠しにした「黒塗り資料」がついに一部公開!海外出張予算、その驚愕の内容とは…
http://otokitashun.com/blog/daily/12500/

しかし手前味噌ながら、こうした地方議会レベルのネタをネット発→地上波への流れで取り上げてもらう流れを確立したことには、少なからず私のブログ・情報発信も貢献できている気がします。

で、黒塗りの理由として示されたのは

「入札業務に支障が出る恐れがあるので、価格が推測される部分は開示してこなかった」

というもので、これに対しては一様にコメンテーターの方々は

「(過去の)予定価格が知られたところで、それを参考に安く価格を提示したところが応札するだけでは?」
むしろ開示した方が、(競争原理が働いて)値段がどんどん下がっていくはず」

という指摘をされていまして、私もこれは至極もっともだと思います。さらには元都庁勤務で地方行政の研究科である佐々木信夫氏も、

「昔はこうではなかった。いつのまにかこうなっている」

と話していますし、他の地方自治体の方に聞くと「うちは公開している」「東京都が特殊なのでは?」と口々に言われることが多いです。

これ、本当に謎なんですよね。都職員から説明を聞いても

「予定価格が推察されると、入札に影響を及ぼす可能性がある」
「都の内規でこういった対応をするように統一している」

というばかりで、まったく腑に落ちません。そりゃ「入札に影響」はあるでしょうけど、本来ならその価格を目安として健全な競争原理が働くだけの話です。

今回開示されたむちゃくちゃな予算・価格設定に鑑みると、どう考えても

「自分たちにマトモな価格設定をする能力・意思がないので、入札業者に丸投げします」
「でもそんなことは口が裂けても言えないので、黒塗りにして数字は隠しておきますね」

という風にしか見えないのですが…。

ま、あとはこういうことなんでしょうけどね!

そして問題は海外視察経費に限らず、内規にしたがって都の業務すべてでこの理論がまかり通っていることです。

今回の海外視察のケースは「舛添問題」で世論に注目され、私を始めとする議員たちがしつこく情報公開を求めて、ようやく部分的に公開が実現されたに過ぎません。

事実、都はあくまで「知事の海外出張に限って公開することにした」というスタンスを崩してません。恐らく都政改革本部でフォーカスがあたる部分ですが、ここをしっかりと突き崩していかなければならないでしょう。

参考:舛添出張「ロンドンで深夜のガイド」 都議が「黒塗り資料」の「ナマ数字」公開
http://www.j-cast.com/2016/08/30276491.html

>東京都の外務部管理課では、J-CASTニュースの30日取材に対し、当初は黒塗りで開示していたことについて、「単価と数量を公表すると予定価格が推察される恐れがあり、入札業務に支障が出ると考えたからです」と説明した。

>今回の開示で黒塗りを取ったことについては、「海外では出張先によって物価が違うため推察されにくく、高額出張で批判が高まったので知事の出張に限って公表することにしました」と言う。

私としても秋の都議会定例会にて、再びこの海外視察経費を取り上げながら、さらなる徹底した情報開示を求めていく所存です。

ただ、もはや破綻しているとしか思えない「入札業務に支障が出るため」理論ですが、当初始めた時は何か合理的な理由があったはずなんですよね(本当になかった可能性もありますけど)。

というわけで地方行政、あるいは入札業者サイドの「中の人」で知見をお持ちの方、

「いや(過去の)予算の数字を隠すことで、入札がこんな健全な流れになるんだよ!」

という解説ができる方がいらっしゃいましたら、ぜひともご教示をいただければと思います。議会質問で取り上げる際に、参考にさせてもらいたいと思います。

本日は防災訓練や夏祭りラストシーズンで、北区各地を周ります。

それでは、また明日。