トップのわがまま

岡本 裕明

国家元首の国際会議が連日のように行われていますが、トップもこれだけ頻繁に顔を合わせているとだんだん地が出てくるのでしょうか?会談内容を見なくても写真だけである程度様子がうかがえて来ます。

G20とASEAN首脳会議で注目に値するトップ会談をいくつか見てみたいと思います。

まず、この豹変ぶりは何だろう、というのが安倍首相と韓国朴槿恵大統領の会談。この二人の和んだ様子を2年前、誰が想像できたでしょうか?朴大統領はさらに今年日本で開催される日中韓首脳会談について「日本に行くのを楽しみにしている」とまで言わせているのです。その上、目先日本人にとって最大の気になる事項である慰安婦像について「合意を着実に実施していくことが重要だ」(日経)と努力することを表明しています。

語弊はあるかもしれませんが、日韓関係は2年前と180度転換しているように思えます。この変わりようは何処から来るのかですが、複合要因だとみています。一つは韓国が置かれている経済、政治、外交的立場。特にそれまでの中国サマサマからかなりスタンスが変化したのは中韓関係が思った通りに進められなかった韓国の判断ミスがあったでしょう。

次いで北朝鮮の若殿の無茶ぶりにアメリカ、ひいては日本との関係改善は絶対不可欠になっていることがあります。三つ目に日本からヘイトスピーチが大きく減ったこともあります。当時、三橋貴明氏の韓国批判とその激しいタイトルの本の宣伝がウェブであちらこちらに出てきたことはある意味拍車を掛けたと言えるでしょう。

外交は大枠を見る必要があります。日本は何をしようとしているのか、私なりの想像ですが、朝鮮半島の安定化そのものだろうと思います。誰に味方するということではなく、世界的にも歴史的にもなかなか安定しにくい朝鮮半島から再び問題が勃発しないよう温度調整している、とみています。

次の外交ですが、オバマ大統領とフィリピンのドゥテルテ大統領の初会談がドゥテルテ大統領の会談直前の暴言で中止になったこと。これはドゥテルテ大統領の品格というか、国際水準を知らなくてすむダバオ市長時代の延長そのものであります。他国のことを悪く言うつもりはありませんが、この人を大統領に担ぎ上げたフィリピンの方はそれでも9割近い支持を示しているその理由は何でしょうか?

想像するに勧善懲悪でフィリピンの一般人にとって卑劣で最悪な麻薬取引者らの命を2000人以上奪ったことに対する英断でしょうか?私ならどうするか、ですがフィリピンは島国なのですからどこかに囚人島を作り、そこに押し込めるなど人道的問題の回避手段はあったと思います。

しかし、オバマ大統領がこれほど冴えない顔をし続けたのも氏の数々の外交の中でも最も多いのではないでしょうか?
Puchin Obama先日もお伝えしたようにG20で中国に着陸した時からトラブル、久々のオバマ/プーチンの会話はまるでけんか腰というか、永遠に憎しみ合う二人が目と目で大戦争を繰り広げているようでした。もうこの二人がトップとして会うことは二度とないでしょう。オバマ大統領は今頃つぶやいていると思います。「大統領やって、俺も頑張ったけど外交だけは下手だったなぁ。ヒラリー、うまくやってくれるかな?」と思いながらエアフォースワンでやけ酒でも飲んでいたのではないでしょうか。

「トップのわがまま」と言えば民進党のトップ選びも週刊誌が喜びそうなネタが続出しているようで横目でチラチラ見ています。三候補の政策よりも蓮舫氏の国籍問題の不透明感の方が話題になってしまうところに情けなさを感じるのは私だけでしょうか?前原さんは頭がよい人なのですが、押し出しの悪さは天下一品、多分、育ちが良くて優しい人なのだろうと察します。が、よい人では「トップのわがまま」は言えません。

その点、小池百合子氏はトップになったらなかなか、押し出しがはっきりしてきました。好きな人は好き、嫌いない人は嫌いでしょう。

私が言うのもおこがましいですが、個人的には自分の表現力を上手くコントロールし、民意をつかみ、政策を着実に実行することがトップにとってやはり一番重要だと思います。安倍首相はテレビ向けの顔と日常はだいぶ違って相当厳しい方だと思います。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 9月8日付より

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。