IEA:石油過剰は2017年も続く

昨日の「OPEC月報」に続き、今日発表された「IEA月報」でも同じような見方が示された。

はてさて、月末のアルジェリア会議では、何がどのように話し合われるのだろうか、あるいは、政治的要因が優先し、会議そのものが流れてしまうこともあるのだろうか?

「IEA月報」の要点を報じているFTの記事 “Global oil glut to last into 2017 – IWA” (around 19;00 on September 13, 2016) の要点を次のとおり紹介しておこう

・IEAが火曜日に発表したところによると、需要の伸びが想定以下であり、OPECは精一杯の生産を継続しているため、石油市況の低迷は2017年も継続しそうだ。

・「ここ数ヶ月の間に需給の動きが大きな変化を示しそうもなく、その結果として少なくとも来年前半までは供給が需要を上回る状態が続きそうだ」

・7月の先進国の(商業用)在庫は31億バレルと「これまでに見たことのない」水準に達した。精製量の伸びも、この10年間で最低水準。

・OPECも月曜日(9月12日)に、米国シェールの強靭性と新油田からの供給開始により、来年も供給過剰のまま推移し、価格に下落圧力を加えると警告していた。

・IEAは、従来、今年後半には供給過剰は解消するとし、第3四半期には在庫の大幅取り崩しが始まるだろう、と予測していた。

・価格下落が、当初はアジアの大消費国の購買意欲を刺激したが、いまや劇的に減速している。

・第3四半期の需要が弱かったこともあり、2016年の需要増の見通しは、前月報告より10万B/D少なくなり、130万B/D増になると予測している。

・8月の世界合計生産量は、前年同月比30万B/D減の9,690万B/Dだった。非OPECの生産減はOPECの生産増でほぼ帳消しとなっている。

・OPEC生産量は3万B/D増の3,347万B/Dと記録的水準に迫る勢いだった。サウジもクエートもUAEもイラクも、すべて増産。イランは経済制裁後、最高水準となった。

・非OPECの生産量は30万B/D減の5,640万B/D。

・投資と稼働リグ数の減少により、今年84万B/Dの生産減となるとみられていた非OPECの生産量は、2017年には逆に38万B/Dの増産となる見込みだ。

・この報告を受け、火曜日午前半ばのブレント原油は1.05ドル下落し、47.28ドル、WTIは1.14ドル落ち、45.16ドルで取引されている。

うーむ。
昨日の「OPEC月報」と、今日の「IEA月報」から読み取れるのは、公の場での発言の如何に関わらず、OPEC湾岸諸国は激しいシェアー争いをしている、ということだ。「生産据置(output freeze)」に合意する際に、「実績」としてより多くの生産量を記録しておきたい、という意向とも読める。
このような状態で、集まって、協議して、何か有益な合意が出来るのだろうか?

何となく悲観的な臭いを感じる。

一方で、ベネズエラの国内情勢は制御不能に陥っているようにも見え、こちらの方がより大きな波乱要因となりそうだな。


編集部より:この記事は「岩瀬昇のエネルギーブログ」2016年9月13日のブログより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はこちらをご覧ください。