都政改革の主役は、職員

上山 信一

以下の記事は全くの的外れ。

小池都知事に告ぐ。本気で改革したければ「会議の席順」から改めよ(現代ビジネス)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49736

都政改革本部の初会合で、外部委員を後ろの席に移したのは私です(私は発表が長いからメインに座ったが)。当初、事務方は外部委員をゲストと考え、メインの席に据えた席順を用意してくれた。だが私は「逆ですよ、皆さんが改革の主役」と指摘し、席替え。知事も「当然」と賛同。

ジャーナリストさんは、ちゃんと現場に取材をしてこの記事を書かれたのでしょうか?
都政改革本部では外部委員が正しくて職員の皆さんが間違っているというステレオタイプは排除。間違っていたのは組織運営の仕組みと歴代知事(週2回しかこない、任期全うできない)。

ちなみに国(政府)はあいかわらず例の規制改革会議に官僚たちを呼び出し、批判するが、結局、ろくな成果が出せていないように思う。私も一度呼ばれたが手法が真逆、僕は現場に出向くタイプと断った。組織の中に入り、一緒に新しい答えを出さなきゃだめでしょう。もちろん事業仕分けにも否定的だ。

ちなみに大阪府でも大阪市でも私は職員たちとデータを分析し、未知の解決策を一緒に考えた。批判ばかりの委員はいらない。僕はいつも何かの答えを見つけ、それで成果を上げてきたつもりだ。答えが出ない仕事には最初から参加しなかった(橋下改革のエネルギー戦略会議など)。

実務に精通しない人間が行政の現場の苦労もしらずにえらそうに「指導」する会議なんて機能しない。事件は現場で起きている。外部委員は選挙で選ばれたわけでもない。えらそうにしてはいけない。

ちなみに小池改革では実務に精通しない著名人やジャーナリストは起用しない。全員実務家、現場に寄り添うプロだけに参加いただいている。


編集部より:このブログは慶應義塾大学総合政策学部教授、上山信一氏のブログ、2016年9月17日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた上山氏に感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、上山氏のブログ「見えないものを見よう」をご覧ください。