最近、いくつかの新しいビジネスの立ち上げに関わっています。そんな新しいことを始める時のメンバーは、「できる人」よりも「いい人」と一緒にやった方が良い結果が出せると思っています。
「できる人」とは仕事で実績を上げてきた人。「いい人」とは何事にも誠実に丁寧に向き合い、一生懸命やる人のことです。
新しいビジネスにどんなスキルが必要になるかは、やってみないとわかりません。有名大学を出て、一流企業で働いていた「できる人」だからと言って、新しい環境で能力を発揮できるとは限りません。
むしろ立ち上げ時の会社に必要なものは、自分の専門分野ではないことにゼロからチャレンジする「ひたむきさ」だったり、担当外の仕事にも積極的に関 与していく「親切心」です。また、チームが1つにまとまる必要がありますからお互いの「信頼関係」が成立していないと、ベクトルを1つにすることができません。
特定の人の特殊な才能によって社会に革命的な価値を生み出していく会社というのは、多くはありません。ほとんどのベンチャー企業は既存の会社の商 品・サービスに対する顧客の不満を解消することで新しい価値を生み出します。そう考えると社会人としての基本的な能力は必要ですが、それを超える能力やス キルは人材として必須ではないと言えます。それよりも、誠実で一生懸命やろうという意欲がある、あるいは一緒にやっていく仕事に対して熱意と愛情を持って もらえることの方が圧倒的に重要なのです。
だから、誰と一緒にやるかを決める時は、その人が「いい人」かどうかを見るようにしています。不器用でも一生懸命やろうとする人、真面目で手を抜かない人が理想です。
そんな「いい人」たちが集まって仕事を始めると、ひたむきに努力を続けますから、方向を間違えなければ、いずれ結果が出てきます。また、メンバー同 士が仲良くまとまって仕事を進めていくので、社内調整に時間がかからなくなり、迅速な意思決定ができます。さらに、自分の担当だけではなく、お互いに自然 に仕事をカバーし合う雰囲気があるので、取りこぼしが出にくく、仕事を効率的に進めることができます。
「できる人」が環境変化で「残念な人」になることはあっても「いい人」が「悪い人」に変わってしまうことはあまりありません。この人材における「いい人戦略」は、長期の企業経営を考える上で有益ではないかと思っています。
と、ここまで偉そうに書いて、私自身は果たして「いい人」かと問われると答えに窮します。初心忘れずに精進を続けなければいけませんね。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年9月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。