BBCが「サウジの婦人14,000人が、旅行を含む外出時に男性保護者(父、夫、兄など)の許可を必要としている現行規則の変更を求める要請を政府に行った」と報じている今朝、掲題に関する興味深いニュースを米ABCがAP電として報じている。”Saudi King slashes of ministers, employee bonus” (Sep 26, 2016 3:04pm ET) というものである。
要点は次のとおりだ。
・9月26日(月)、閣議決定に基づき出された国王令(Royal Decree)によると、MBN皇太子兼内務相およびMBS副皇太子兼国防省を含む全大臣の給与を20%削減する。また、大臣たちは個人使用の電話代は自分で支払うこと、とも記載されている。
・さらに諮問評議会(国王任命、定員150名、日本の「国会」に相当するが、立法権はない。地方諮問評議会では順次、投票で選ばれた議員数が増え始めている)議員の手当も15%削減する。これらには4年間の在任中に支払われる住宅、自動車、その維持費用およびガソリン代を含む。
・さらに通常ではないのが、公務員の残業手当は給与の25%を最大とし、休日出勤手当は50%を最大とするという制限が設けられたことだ。また新規雇用は、今財政年度末まで凍結する。公務員の多くは、現状でも給与が低すぎると文句を言っている。
・また政府雇用の外国人従業員のうち不要な人の契約更改を禁じる。何人が該当するのかは不明。
・これらの新規定は、来年度の予算が発表される3か月前に発表され、新しいイスラム年度が始まる来週早々から適用される。
・サウジの労働人口の70%は公務員であり、2015年の政府支出の約50%、約1,200億ドルが給与(wages, salaries & allowance)だった。
・2014年以降の石油価格下落により財政赤字は拡大しており、政府は油価が高いときに積み上げた外貨準備の取り崩しや、ガソリンや電気の補助金削減などで対応している。
・なお、現在イエメンで軍事活動に従事している兵士には適用されない。
・さらに王族のstipends(俸給、年金)については触れられていない。
・サウジは支出削減、石油収入への依存率減少および民間就業人口の増加を目指した「ビジョン2030」を掲げ、国家改造に取り組んでいる。なお、公式の失業率は12%である。
はてさて、サウジ社会はこれらの「変化」にどのように適応していくのだろうか。聞こえてこないが、聖職者たちはどのように考えているのだろうか。
国王継承問題とともに、ますます目が離せない展開となっているなぁ。
編集部より:この記事は「岩瀬昇のエネルギーブログ」2016年9月27日のブログより転載させていただきました(アイキャッチ画像はWikipediaより)。オリジナル原稿を読みたい方はこちらをご覧ください。