【映画評】メカニック:ワールドミッション

Mechanic: Resurrection (Original Motion Picture Soundtrack)

暗殺業から手を引いて、ブラジルで平穏な日々を送っているビショップのもとに、かつてビショップを裏切って逃走し姿を消した兄弟子クレインから殺しの依頼が入る。愛する女性ジーナを人質に取られ、やむなく引き受けることに。依頼の内容は、武器商人として暗躍する巨大フィクサー3人を事故に見せかけ殺すことだった。着々と仕事を進めるビショップだったが、仕事が成功しても失敗しても、クラインが計画遂行後に自分とジーナを殺害することを知る…。

チャールズ・ブロンソン主演の同名作をリメークしたアクション映画「メカニック」の続編「メカニック:ワールドミッション」は、オリジナル脚本で、豪華キャスト、ワールドワイドな活躍と、すべてがスケールアップしている。機械のように正確無比、殺しの痕跡をいっさい残さない完璧な仕事ぶりからメカニックと呼ばれる凄腕の殺し屋ビショップが今回ターゲットにするのは、世界を裏で牛耳る武器商人たち。死んで当然のワルたちなのだが、ターゲットを消すためのビショップのミッション遂行計画が、意外性と創意工夫に満ちていて、なかなか楽しい。

50歳に近いステイサムがほとんど自分でこなすアクションは切れ味抜群で、特に、元飛込競技の選手という特性を活かした水中でのシーンがいい。高所からの飛込み、空中のプールでの暗殺、海中を自在に動いてのアクションなど、見せ場もメリハリが効いている。3番目のターゲットを演じるトミー・リー・ジョーンズのぶっ飛んだ悪役ぶりも見所だ。

主人公は凄腕暗殺者という設定上、ビショップの強さばかりが際立つのはいいとしても、女性キャラがあまりにもサエないのはいかがなものか。アクションもこなせるミシェル・ヨーはチョイ役に過ぎないし、ビショップが愛するジーナ役のジェシカ・アルバにいたっては、米軍の特殊部隊の元兵士という設定なのに何の役にもたっていないばかりか、ビショップのじゃまになってばかりいるという有様で脱力してしまう。ステイサムありきの作品と割り切って見れば楽しめるアクション映画だ。
【55点】
(原題「MECHANIC:RESURRECTION」)
(アメリカ/デニス・ガンゼル監督/ジェイソン・ステイサム、ジェシカ・アルバ、トミー・リー・ジョーンズ、他)
(暗殺スキル度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年9月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。