あなたの上司は、どんな上司ですか。社内で評価の高い上司ですか。将来を嘱望された役員候補ですか。それとも、社内で煙たがられている存在ですか。
素晴らしい上司の部下になったらとても幸せです。上司に嫌われなければ、当面のポジションは安泰でしょう。積極的に指導を乞いながら、多くのことを学んで自分を成長させることができます。ところが、後者の上司の部下になったら、これほど不幸なことはありません。
しかし、部下は上司を選べませんから(最近では上司も部下を選べないとも言いますが)、そのなかでうまくやっていく方策を見出していかなくてはなりません。
■上司のタイプは3つに分けられる
私の経験上、部下が不満を抱きやすい上司は、次3つに分けられます。このような上司に当たってしまったときは参考にしてみてください。
(1)判断をしない上司
部下に明確な指示を出せない上司は、判断ミスによって責任をとらされるのを恐れます。基本的に「決める」という行為をしたがりません。部下が何かの提案をもちかけても、判断することを渋るので、どうしたら上司が受け入れやすくなるのか考える必要があります。
このタイプの上司はマニュアルや前例を踏襲することで安心するので、過去に実績のある提案の資料などを見せながら説得するのがひとつの手です。新しいことをやるときはなかなか難しいですが、できるだけ根拠を厚めに提示しましょう。
問題視されそうな部分については、「○○さんに確認しているので問題ありません」というように、事前に社内で実績のある人や専門知識のある人などに確認して権威づけしておくと、了解が得られやすくなります。
(2)旧パラダイム思考の上司
過去の成功体験を信じて進化できないままの上司や、過去の失敗体験を環境が変わっても引きずっている上司です。自分の考えに固執しがちで、部下が新しいやり方や考え方を打ち出しても、基本的に拒否を示します。
このような上司のもとでは、自分に賛成してくれるメンバーを仲間にして、数の論理で納得させるのがよいでしょう。または他社の事例などを研究して、上司の考え以外にもやり方があることを示していくことです。
もちろん、上司の過去の経験から学ぶことは多いので、先入観にとらわれることなく、フラットな視点で判断することを心がけましょう。
(3)管理能力が足りない上司
繁忙期でもないのに、時間にルーズだったり、うっかり何かを忘れていたりということが多い上司には、部下の管理は少し荷が重い可能性があります。このような上司の部下になってしまったら、上司に頼るのではなく、自分が秘書代わりになって上司を支えるくらいでないと支障をきたしかねません。
大変ですが、上司が一人前の管理職として成長するまで、自分が仕事の全体像を把握し、管理職代行のつもりで仕事にあたるしかありません。管理能力が足りなくても、ほかの面で秀でている上司もいますので、そういうところをうまく学んでいくとよいと思います。
■本日のまとめ
当たり前ですが、上司も完璧ではありません。人脈のない上司、パソコンが使えない上司、自慢が多い上司、セクハラ・パワハラ上司、さまざまなタイプの困った上司に出会うこともあるかもしれません。
部下の力だけでは簡単には脱却できませんが、腐らず「何とかしてやろう」という意気込みがあれば展望が開けてくるものです。そのための情報収集や社内外とのネットワークづくりも大切です。
尾藤克之
コラムニスト
PS
『次代の論客は貴方!アゴラ出版道場』は10月1日開講します。