安倍首相の自衛隊拍手を批判し続ける民進党の軽さ

安倍晋三首相は9月26日の所信表明演説で自衛隊員らへ敬意を表し、その際自民党議員が立ち上がり拍手を送る「スタンディングオベーション」が起きた。安倍首相自身も自衛隊らに拍手したが、これについて民進党が批判、同党の細野豪志代表代行は9月30日に至っても、なお難詰している。

細野氏は「自民党議員は自衛隊ではなく、首相に拍手しているようにみえた。この国の国会でないような錯覚をおぼえた」とまでのたまう。

首相は「あまりにもこじつけで、うがった見方だ」と反発しているが、私に言わせれば「だから、どうだ」というのだ。

首相の言葉に共感したなら、拍手を送るのは自然で、野党党首の国会演説に賛同して野党議員が拍手することだってよくある。

一体、民進党は今、中国や北朝鮮が日本に向けて起こしている軍事攻勢をどう思っているのか。危機感を覚えないのか。危機感があるのなら、一触即発の事態さえありうる現状をにらんで、日夜努力している自衛隊や海上保安庁の隊員に対し「ご苦労様」と拍手を送っても不自然ではない。

それでなくとも日本は憲法9条2項によって日本は「陸海空軍その他の戦力は保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と定めているからだ。一般的な日本人がこれを素直に読めば、自衛隊が憲法違反であることは明らかである。

自衛隊は憲法によって正規に認められていない「日陰の存在」なのだ。それなのに存在している。その居心地の悪さを、彼ら自衛隊員らに戦後60年以上も味わわせている。その責任は憲法改正をしない(あるいは逆に、違憲として自衛隊を廃止することもしない)国民、有権者にある。

自分で防衛責任をとらずに、米国に任せる居心地の良さを維持したい。でも、まったく軍備を持たないことも現実にはできない。で、憲法違反の疑いの濃い自衛隊を60年間も続けてきた。

ところが、昨今の中国、北朝鮮の軍事力拡張と米国の内向き志向で、自衛隊の存在がますます重要になってきた。震災などへの対処もあって、それでなくとも自衛隊の重要性は増している。その「ありがたさ」から違憲ながら自衛隊を存続させている後ろめたさが与党である自民党員にはある。それが安倍首相の演説に伴う自衛隊員らへの拍手、スタンディングオベーションを導き出したのである。

本来、自衛隊員を日本防衛の正規の職員として認める憲法改正を早急にしなければならないのである。

ところが、民進党はそれを理解せず、「平和の政党」であるかのようなイメージを維持するために安倍批判を繰り返している。

そのノー天気な姿勢を不安に思うから、国民の支持率が少しも上がらないのである。まともな大人の政党といえるだろうか。「いい加減にせよ」と言いたい。

そう言わずに、何度も民進党の安倍批判を掲載する大手メディアもどうかしている。