時は、きた。それだけだ。
ニンテンドークラシックミニが発表された。
「やられた感」がある商品である。ファミコンを手のひらサイズで再現。ゲームソフトを30本収録。HDMI端子接続。「でも、お高いんでしょう?」と思いきや、だいたい6,000円。
これはいい。
30本のソフトセレクションも「ドンキーコング」「スーパーマリオブラザーズ」「ゼルダの伝説」といった王道感のあるものの他、「熱血硬派くにおくん」のシリーズや、「つっぱり大相撲」など、微妙な外し方もにくい。初代ファミコン最後のヒット作と言ってもいい、「星のカービィ」でしめるというのもセンスがいい。
・・・ファミスタがないとか、ゼビウスやロードランナーがないとか、クソゲーを数本入れるべきだったとか、色々、言いたいことがあるが、このへんは大人の事情だろうし、それ自体がアトランティスの謎ということだ。
初回ロットは争奪戦になりそうだが、これは予約するべきだなと思っている。
ここからが、本題だ。
初代ファミコンに熱中した者たち、つまり私のような人たちが40代になっている。子供がいる人は、そのお子さんもゲームに熱中する年齢になっている。我々アラフォー男子は、ゲームの倫理のような者を次世代に継承していくべきではあるまいか。
我々は高橋名人から、ゲームの遊び方を学んだ。彼が啓蒙した一言が忘れられない。
それは
「ファミコンは1日1時間」
というものだ。
この言葉を真に受けると、ドラクエシリーズなどは、クリアするのに半年かかることもあるだろう。しかし、ゲームを売る企業に勤めながらも、この警鐘を鳴らした、高橋名人は偉いと思う。さすが、当時、1日署長などに登用されるだけある。
ゲームは、楽しいものである。小生も「ポケモンGO」には飽きてしまったが、「いただきストリート」のスマホ版に未だに熱中している。段位認定も5段まで言った。しかし、少しゲームに熱中すると妻から「ゲーム廃人」と罵倒され、ふと我にかえる毎日である。
そのたび、あの高橋名人による警鐘が脳裏に浮かぶ。
「ファミコンは1日1時間」
である。
さらに、高橋名人は外で遊ぶことなどを提唱していた。
名人と言えば、16連射である。これぞ日々の訓練の賜物だろう。スマホの時代になり、16連射をやると画面が割れてしまうかもしれないが、いつ、何時、誰の挑戦でも受けるという名人の姿勢が伝わるのがこの16連射だ。
我々、中年は現在・過去・未来のゲーム文化をつなぎ、後世に伝えていかなくてはならない。
今こそ、高橋名人の言葉を噛み締め、自らが、健全なゲーム文化とは何かを自分ごととして捉えて考えるべきだ。そして、自分たちの子供や若者が善いゲーム人となるよう、啓蒙活動を始めよう。
まず、街で歩きスマホをしながら「ポケモンGO」をしている若者を見つけたら説教をし、高橋名人の言葉を受け売りし「ゲームは1日1時間だ」という言葉を伝え、「俺も昔は悪かったんだよ」と言いつつ16連射を披露するところから、日本のゲーム文化を変えていこうではないか。
それにしても、このニンテンドークラシックミニ、居酒屋の個室に持ち込むのにも便利そうだなあ。ファミコン大会、しちゃおうかなあ。
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2016年10月1日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた常見氏に心より感謝申し上げます。オリジナル原稿を読みたい方は、こちらをご覧ください。