昇進・昇格を勝ち取り、上にのぼるためには、当然仕事で結果を出すことが必要とされます。しかし、上にのぼる人が、挫折することもなく、常に高い成果を出しているのかと言えば、必ずしもそういうわけではありません。
■イレギュラーは起こって当たり前
手を尽くしても解決できないこともあります。想定外の事態が続いたりして、何をやっても上手くいかない時期があることも、めずらしい話ではありません。上にのぼる人と「ここまでの人」の違いは、何かイレギュラーなことが起きたときに、どういう対応をするかです。
なかなか上にのぼれない「ここまでの人」は、上手くいかないことがあると「あれがダメだったせいで……」などと言い訳をして、投げやりな態度を見せる傾向があります。しかし、どういう意図であれ、否定的な発言をすると思考が停止しやすくなります。
安易な発言をすることで、関わる人たちのモチベーションも下がりますし、解決できるものも解決しづらくなります。仕事が上手くいかない原因には、法律の改正や海外情勢による影響、事業環境の変化など、個人の努力では変化を抑えたり軌道修正が難しいこともあるでしょう。
だからといって、会社は、赤字になってもよいとか、社員の生活が不安定になってよいとかいうわけにはいかないのです。どんな状況でも、最低限の成果は持ち帰れるようにやりくりしなければなりません。
■「自分にとって想定外なだけでは?」と考えてみる
上にのぼる人は、制約事項のなかで、どうすれば結果が出せるかを考える人です。事実、外的環境に変化が起きたとしても、損失を最低限に食い止めるなりして、結果を出す人はゼロではありません。
成果が出ないのは、必ずしも外的環境の変化だけが原因ではなく、その変化に自分が上手く対応できなかったという可能性もあるのです。自分を中心に世界が回っているわけではないので、物事を進めるうえで制約事項があるのは当たり前です。
また、上にのぼる人は、先のことを予測しています。これから起こるかもしれないリスクを想定し、あらかじめ手を打ったり、対策を検討しています。もし何かが起きたとしても、上にのぼる人にとっては多くのことが想定内で、そうでない人にとっては想定外の出来事ということです。
想定外のことが起きたのではなく、単にその人にとって想定外だっただけと考えると、リスクへの準備が足りなかったという見方もできるわけです。もちろん、リスクは100%想定できるものではありませんが、経験量を増やし、情報感度を上げていくことで精度を上げていくことはできます。
それによって、ちょっとした変化に気づき、先を見越した判断をすることができます。さらに、仕事を進めるうえで出会う困難に対して前向きに解決に取り組んでいくことで、過去の経験や、周りの人の経験を自分のノウハウとして蓄積していくことができます。投げやりにならずに、できることをやる姿勢が大事です。
尾藤克之
コラムニスト
「アゴラ出版道場」10月1日に開講しました!ご質問・お問い合わせはこちらまで。