【映画評】CUTIE HONEY -TEARS-

人工知能A.I.によって支配され管理されている近未来。一握りの富裕層が優雅に暮らす上層階から廃棄される汚染物質の雲に覆われ、下層階に住む貧困層は荒廃した世界で暮らしていた。ある日、上層階から美しいアンドロイドの如月瞳が落ちてくる。如月博士の娘の記憶が移植され、感情を持ったアンドロイドである瞳は、下層階出身の新聞記者・早見青児やレジスタンスのリーダーである浦木らと出会う。瞳は人々を守るため、世界を支配する感情を持たない新型アンドロイド・ジルと対決することになるが…。

永井豪によるヒット作を近未来を舞台に実写映画化した「CUTIE HONEY -TEARS-」。美少女の姿をしたアンドロイドが主人公のキューティーハニーは、コミック、アニメなどで描かれてきたが、実写映画としては、庵野秀明監督、佐藤江梨子主演のものに次いで、2度目となる。今回は、ビジュアルはスタイリッシュ、物語はシリアス路線を目指していて、ターゲットは大人向けということだろう。ただし、内容は、モデル、シンガーとしても活躍する美人女優の西内まりやのファッションショーのよう。コスプレ大会に近い西内・ハニーに対して、ほぼ同じ衣装なのに、いつもクールで美しい敵役の石田ニコル・ジルが、終盤に大バトルを繰り広げるのが見所だ。

どこかノーテンキなキューティーハニーのイメージを覆すかのような“涙(TEARS)”のラストも意外性がある。ただ、明るく健康的なエロティシズムのハニーが好きなファンには、これがどうしてキューティーハニーなの?と疑問に思うかもしれないほどの改変。物語は、1本の独立したSFとして成立しているし、名前も如月ハニーではなく如月瞳なので、わざわざキューティーハニー(CUTIE HONEY)の名前を借りなくても良かったのでは?
【40点】
(原題「CUTIE HONEY -TEARS-」)
(日本/A.T.監督/西内まりや、三浦貴大、石田ニコル、他)
(コスプレ度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年10月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。