共産党は基本的に天皇制には反対で、共和制国家の実現を目指しているはずである。
民進党が皇室典範の改正問題に真正面から取り組むことにした、という報道が相次いでいるが、皇室典範の改正問題に本格的に踏み込みば憲法改正の問題まで視野を拡げなければならないことになる。
憲法改正問題は棚上げして、あくまで現憲法を死守するという立場に立つのであれば、問題はそう複雑化しないで済むのかも知れないが、皇室典範改正問題を真正面から取り上げることになると現憲法が定める象徴天皇制そのものについて言及せざるを得なくなる。
象徴天皇制は国民主権主義と密接に関係した、日本の統治機構の根幹に関わる極めて重要な問題である。
共和制国家の実現を理想としているはずの共産党と、象徴天皇制の改革に直結しそうな皇室典範改正を一つの政治目標にする民進党が手を組むのは少々おかしくはないか、ということになる。
まあ、民進党が選挙に勝つためには主義主張はどうでもいい、まずは選挙に勝つことだ、などという選挙至上主義者の集まりだったらどうでもいいのだが、政策の面でも思想信条の面でも融通無碍で、曖昧だ、ということになれば、とても民進党は大きな政治勢力にはなれない。
共産党を頼りにするようになると、結局、民進党の影が薄くなる。
それでもよければ、どうぞ、と言いたくなるのだが、さて、野田さんや細野さんはどこまで本気なんだろうか。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年10月5日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた早川氏に御礼申し上げます。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。