【長沼会場】宮城県の負担は少なくて本当に済むのか???

川松 真一朗

おはようございます。東京都議会議員(墨田区)・都議会自民党最年少の川松真一朗です。

さて、ここのところ連日都政に関しては注目のトピックとなっている五輪③施設見直し問題。特にボート・カヌー場を宮城に移すのか小池知事の判断を待っている中で、週末土曜日に小池知事が宮城県の長沼を視察しました。私自身は、比較検討した中で、東京開催がベストであるとして一定の結論を出し、費用を出来るだけ圧縮出来ないかと模索している身です。

そして、本日、小池都知事は国際オリンピック委員会のバッハ会長と会う予定となっています。

そこでです。
宮城県が五輪組織委員会の9つの疑問に対しての回答をメディアに10月1日付けで出しました。その中に大変気になる文言があったので紹介します。

平成23年12月13日付けの東京都から本県への公文書においても「大会時に必要な施設は、大会組織委員会負担となる仮設で対応する」ことが明記されている。

私自身の率直な感想として、多額の費用を村井宮城県知事はどうやって自分達で捻出しようとしているのか、その根拠を知りたいなと思っていました。東京も費用が課題となり各施設の見直し作業に入っている中でしたので、どうしてもそこが引っ掛かっていました。そんな中で、上記のメディアに配布した文書を昨夕入手出来たので、少し今日は触れておきます。

もし、村井知事がH23年文書を根拠に、仮設は組織委員会が負担するから、県負担はそこまで大きくかからないんだという認識であるならば、この文書を見なければ何とも言えないわけです。

そこで、様々な手法をこらして、上記文書に目を通す事が出来ました。この文書自体の写しなどがあるわけでないので、私の言葉でまとめます。

まず、この文書は五輪大会招致時に東京都スポーツ振興局長名で宮城県教育長宛に出されたものです。
タイトルは「東京オリンピック・パラリンピック招致における宮城スタジアムの申請ファイルへの記載について(依頼)」となっています。

つまり、サッカーのグループリーグで使用する宮城スタジアムの利用に関しての招致時段階での文書です。見ていくと、確かに「大会時に必要な施設は、大会組織委員会負担となる仮設で対応する計画とする。」という宮城県が出した文書の通りの文言があります。

しかし、前段がありました。

「前回計画では、ワールドカップなどFIFA主催の大会を経験したサッカー会場は、大会開催のための改修が発生しないものと計画し、FIFAより会場承認を受けた。今回も前回同様の考え方とし、大会必要な施設は、大会組織委員会負担となる仮設で対応する計画とする。」

これが全文です。

これはどう見てもサッカー会場についての言及であり、この文書を根拠にボート・カヌー場も仮設は組織委員会負担という宮城県の主張が通用するのか今日以降確認をしていかねばなりません。

都民の皆様からの納税により都の施設は準備するわけですから、多くの人が納得する結果を導くのは私達の責務です。宮城の方もあれだけ熱が入って誘致したいと雰囲気も肌で感じています。宮城県議会はじめ県庁関係者とも連日電話ですが意見交換をしており、私自身はボートの現場の方の意見も聞いています。

宮城県で開催の場合は上記の費用負担を明確にしておかないと、最終的に宮城県民にとって「思い出」以外が残らないような施設にしてはならないと個人的には考えています。大前提となる五輪は1都市開催という枠組みをどう乗り越えるのか?これもIOCに対して必要な議論です。

「復興五輪」これは2011年の地震後から、私は2020招致に向けて各方面で発信してきました。しかし、2012年のブログでも記しているようにJOC竹田会長や前オリパラ大臣の遠藤代議士から、「オリンピックは1都市開催だから、気持ちは分かるが聖火リレーや事前合宿、各イベントで被災3県を応援するんだ。」という言葉をずっと受けとめてきています。

おそらく「聖火リレー」の件も、早い段階から高島オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員長には申し入れをしベストを探ってきています。

とにもかくにも、私は今の任期を頂いている以上、全力で都民の皆様、国民の皆様に最大限公益を生み出す仕事をしていきます。施設外の放送回線などインフラ整備も含めて宮城県の費用負担がどれほどになっていくのかしっかりと試算を見た上で、戸田か長沼か海の森かという再検討に向き合うのが最低限の責務と考えています。

是非、このブログをお読み頂いている皆様にはお力お智恵を賜りたく思います。


編集部より:このブログは東京都議会議員、川松真一朗氏(自民党、墨田区選出)の公式ブログ 2016年10月18日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は河北新報より)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、川松真一朗の「日に日に新たに!!」をご覧ください。