世界で特別な国「日本」、日本で特別な都市「東京」

日本経済新聞の記事によれば、2015年国勢調査(確定値)で外国人を含む日本の総人口は2015年10月1日時点で1億2709万4745人。5年前の調査から約96万人減少して、1920年の国勢調査開始来、初めて人口減少になりました。

日本は世界10位の人口を擁する国ですが、同じ5年間で人口が減少したのは、人口数上位20カ国の中で日本だけだそうです。

そして、75歳以上の人口は30年間で3.4倍に増加して1612万人。同じ期間に4割減少した14歳以下の子どもの人口1588万人を初めて上回 りました。14歳以下の人口は全体の12.6%でイタリア(13.7%)やドイツ(12.9%)を下回る、世界最低の水準となっています。

特に深刻なのは地方です。少子高齢化が最も進んでいるのは秋田県で、75歳以上の人口の比率は18.4%と、全国平均よりも5.6%高くなっています。平均年齢も51.3歳と全国で初めて50歳を超えました。

日本は世界の中で人口が減って高齢化が急速に進む「特別な国」なのです。

都道府県で見て、5年間で人口が増加したのは、沖縄、東京、福岡、埼玉、千葉、神奈川、愛知、滋賀の8つだけ。その中で2%を超える増加は沖縄と東 京だけです。その中で世帯の平均人数は全国平均で2.33人と0.09人減少し、単身世帯が増えています。東京都では、世帯平均人数が1.99人と初めて 2人を割り込んでいます。

東京は人口減少の日本の中で単身者を中心に人口が増えている「特別な都市」なのです。

人口動態を見てわかることは、日本はもはや世界とは別の道を歩いていて、その中でも東京は別世界になっているということです。「日本の常識は世界の非常識」そして「東京の常識は日本の非常識」なのです。

これからは日本という国の単位だけで世の中の動きを判断すると大きな間違えを犯してしまいかねません。常に、東京―日本―世界という文脈の中で事実を理解していくことが全体の中での立ち位置を見失わないために必要になってきます。

記事の中には明るいニュースとして、戦後ずっと上昇し続けてきた30代男性の未婚率が、今回5年前より1%低下したというデータが紹介されていました。未婚率の低下が続けば、少子化に歯止めがかかるきっかけになるという解説ですが、焼け石に水です。

今回見えてきた大きな人口動態のトレンドは急に変化することはありません。日本の衰退としてネガティブに捉えて目をそらすのではなく、資産運用やライフスタイルを決めるための大きなヒントとしてポジティブに向き合うのが良いと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年10月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。