トランプ大統領誕生は、本当に「想定外」だったのか?

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アメリカの大統領選挙はトランプ氏が勝利しました。事前のメディアの報道では、クリントン氏が優勢と伝えられていたので「想定外」と捉える人が多いようですが、果たして、本当に予測できない意外な出来事だったのでしょうか(写真はロイターより引用)。

私はアメリカ政治の専門家ではありませんが、例えば言論プラットフォームアゴラに頻繁に記事が紹介されている渡瀬裕哉氏のように、1年前からトランプ大統領誕生の高い可能性を予測していた専門家もいるのです。

トランプ氏のイメージは、アメリカの田舎にいる貧しい白人の男性が支持する候補といったところです。しかし、実際の世論調査の分析結果を見ると、ス テレオタイプに決めつけることの危険性が見えてきます。渡瀬氏が指摘するように、実際には、女性からの支持も比較的高く、キューバ―系ヒスパニックの支持 もあることがわかります。学歴はクリントン支持者よりも低くなっていますが、所得はむしろ高く、貧しい人たちが支持者というのは誤りであることが、公開さ れているデータで確認できます。

今回のトランプ大統領の誕生でアメリカの将来を悲観する見方が広がっていますが、こちらも予測をしている専門家が大きく外す可能性があると思っています。

確かに政治経験はなく、実績が無いことからくる不安はあるでしょうが、逆に過去のしがらみにとらわれず、思い切った政策実行ができるメリットもあり ます。日米関係の悪化を憂慮する人もいますが、アメリカの実利を考えれば、今までの外交政策がアメリカにデメリットのある方向に大きく変わることは考えに くいと思うのが自然です。リスクはありますが「決められる政治」に対する期待が高まり、世論を背景に政策実行が進めば変化が見えてきます。

イギリスのEU離脱の国民投票にしても、今回のアメリカ大統領選挙にしても、メディアの選択を間違えると大きな失敗につながることがわかりました。状況を冷静かつ客観的に分析している専門家の話を聞けば、より事実に近い情報を収集できる可能性が高まります。

自分が専門でない分野のことは、大手のメディアの情報を鵜呑みにするのではなく、誰がその分野の目利きなのかを自分の目でしっかり選択する。正しい情報はどのメディアから得られるのか。そんな「目利きの目利き」の重要性を再確認できたのが、今回の大統領選挙の収穫でした。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年11月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。