世界を驚愕させたトランプ候補の勝利。
トランプ氏の選挙中の様々な発言から、日米同盟にもにわかに不透明感が漂うことになった。河井総理補佐官が週明けにもワシントンへ飛び、安倍総理も17日にNYで直接トランプ次期大統領と会談することが決まったようだ。どういう話し合いを持とうとしているのか、野党の私には知る由もない。
しかし、長年日米同盟を観察して来た者として、ここ数日間における日米双方の努力こそ、今後のアジア太平洋地域の平和と安定を左右する重要な鍵を握っていると確信しているので、僭越ながら、今、自分が安倍総理にアドヴァイスするとしたら、何を進言するか考えてみた。
ズバリ言えば、中国の台頭という歴史的な分水嶺に立つ東アジアの地政学に鑑み、日米同盟が万が一にも「漂流」することのないよう、日本として先ず何をなすべきかについて以下述べてみたい。
目的は、(1)日米間にこれ以上の疑心暗鬼が拡大するのを抑え込むこと、(2)日米同盟が、アジア太平洋地域の平和と安定と繁栄のための国際公共財として、健全で活力があって最も効果的でサステナブル(持続可能)なものであることを内外にアピールすること。
●したがって、私は、直ちに同盟の「再検証(総点検)プロセス」を開始しよう、と日本から米側に提案すべきであると進言したい。
●このように先行き不透明な状況であればこそ、日米の共同作業を内外にアピールすべき。6か月という期限を区切るべし。
●そのために、トランプ氏により、自らが最も信頼する対日(対アジア)外交・安保チームを編成してもらい、その米側チームと日本側当局者との間で、半年間、徹底的な同盟の「総点検」作業を行い、課題をすべて洗い出す。例えば、アジア太平洋の戦略環境、日本の努力、米国の努力、リバランスの進捗状況などを総点検する。
●その間は、日米の最高首脳レベル(大統領、総理、国務長官、外相、国防長官、防衛相、NSC首脳ら)による予断を与えるような断定的な発言を厳に慎むことを申し合わせる。とくに、日米がギクシャクすることを煽るマスメディアなどの興味本位の報道姿勢に警戒すべき。
●その上で、来年夏までに「日米同盟新宣言」を発表し、同時に、日米共通の戦略目標、日米の新たな安全保障上の任務、役割、能力、財政分担の骨格を世界に向けて公表する。
●なお、つい先日ガイドラインを更新したばかりだが、日米同盟における最大の変数である米国大統領が交代(しかも、少なくとも過去8年間の政権とは全く異なる性格の政権の誕生)したのだから、加えて、大統領選挙キャンペーン中にトランプ候補自らが日米同盟に関する(過去との非連続的な)様々な発言を繰り返してきた以上、日米防衛協力のガイドラインも更新する必要があると考える。
以上、今後、日本政府として数週間以内に行うべき初動について考えてみた。総点検の内容や、私が考える新しい日米同盟の基本構造については、後日改めて論じてみたい。
編集部より;この記事は、衆議院議員の長島昭久氏(民進党、元防衛副大臣)のオフィシャルブログ 2016年11月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は長島昭久 WeBLOG『翔ぶが如く』をご覧ください。