こんにちは。東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。
さて、これまでこのブログでは私がリオデジャネイロで経験した事を断続的に書いてきたわけですが、11日金曜日の東京都議会オリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会(オリ特委)では、今夏のリオでの経験をどのように2020年に活かしていくのか?という事を中心に質疑を行いました。
具体的には、オリンピック・パラリンピック準備局(以下オリパラ局)職員のリオ出張経費が総額で3億円を超える事から一つ一つ丁寧に私の持論も各所で展開しながらの内容でした。だいぶ、中身の濃い60分の議論となったので丁寧にここでも触れていきますが、その前に実は今回のオリ特委ではパラリンピック競技大会「5人制サッカー」の会場変更も質疑対象でしたので、最初にこの事を少し掘り下げた形です。
元々、「5人制サッカー」は大井ホッケー競技場で行うという事で準備を進めてきたのですが、この度、国際パラリンピック委員会は会場を「青海」へと変更すると決定致しました。最近、私自身が都議会は「経済面」を考慮しないで議論を続けているのかという指摘を各方面で頂きますので、敢えてこの件について私見を述べたので記しておきます。正しくは後日に議事録がウェブで公開されます。
この「青海」はこれから正式にオリンピック競技大会における「ローラースポーツ」「スポーツクライミング」の会場になります。パラは基本的にオリの会場を使用する事になっています。今しっかりとお伝えしておきますが、5人制サッカー会場を「大井」と「青海」では「青海」の方が手間もコストもかかります。何故かというと、「青海」の地にオリンピック2種目の競技施設を特別に設置する関係で、この施設を撤去しサッカー仕様にする為です。当然、私達は当初計画の通りである大井競技場でサッカー競技が出来ないかと様々な努力を重ねてきました。
そもそも、「5人制サッカー」は「ブラインドサッカー」とも呼ばれる視覚障害者の方々の競技です。その為、シャカシャカと鳴るボールを使う何よりも「音」が重要になっているスポーツです。大井競技場は皆様ご承知の通り、羽田空港に近い立地です。その為、どうしても空の「音」が競技会場としてネックになるという指摘を競技団体からされていました。この対策として、私達は開催自治体の責任として、国土交通省などに働きかけパラリンピック大会開催中の航路運用に関して要望を出し調整を進めて参りました。また、近くを走る高速道路についても「音」が低減される舗装などで対策を講じられないかと様々な角度から大井開催を模索してきたわけです。
しかし、最終的に国際競技団体からの「音」が気になるという意見を尊重しアスリートファーストの観点から会場を変更したという経緯を述べた上で(特別委員会では)ただ競技開催で機運醸成をと待ち望んでいた地元の皆様にも配慮した開催計画を練り上げるべきと準備局に要望を致しました。
あまりテーマが外れると特別委員会の取り決めから離れますので委員会発言は上記までにとどめましたが、都政を見据えた上で更にその先もあります。「青海」地区というのは、フジテレビや船の科学館に近く現在は空いているスペースで、各シーズン毎に大規模なイベントが開催されているエリアです。私はよく羽田空港へ車で行くなどで周辺を通るわけですが、何となくポテンシャルがありそうながら、まだ何も輪郭を描けていない楽しみな地区と思っています。今回オリンピックでは新規採用種目の競技会場となる事で、更に私が思う「新しい」「次世代」 エリアという思いが強くなっています。特にスポーツクライミングはリオデジャネイロで東京大会を目指す選手と意見交換をした事もあり個人的には初開催の東京大会に向けて力を入れている競技の一つです。それだけに、この地に「レガシー」を残すにはどうすべきかを真剣に考えています。
そう言えば、3会場施設見直しに関しても私がブログも含めて各所で「レガシー」に言及している事から他会派の柳ケ瀬都議から「レガシーおじさん」と巷で呼ばれていると言われました。良い機会なので触れておきますが、私が考える「レガシー」はある施設の為やある競技団体1つの為に残すだけのような限定的なメリットを考えていません。一つの会場・競技実施をポイントに有形無形の繁栄の拠点を面で築いていく事であると捉えています。その点で、この先10年20年の未来像も含めて多角度からの「レガシー」構築を訴えてきたわけです。当然道半ばでありますが、なぜこれを言うかというと1964年大会の「レガシー」を次の「レガシー」へ繋げていくのかが東京大会の大きなテーマだったからです。
つまり、私は「青海」地区については臨海部であり2020年以降も見据えた形で大会準備を進めていくべきだと認識しています。ちょうど、この近くには大型クルーズ船が着岸出来る新客船ターミナルが建設中です。現在、晴海にある客船ターミナルには超大型船が(レインボーブリッジの下を通れない事から)晴海を使えません。よく爆買いツアー船などがメディアに登場しますが、私はクルーズは動く「ホテル」であり今後益々東京がターゲットとする外国人富裕層が利用するはずです。つまりは東京の経済を押し上げる人々を出迎える東京の新たな玄関口が「青海」地区です。
その「青海」地区はオリンピックで新規採用種目会場となり、正に新しいオリンピック史の1ページを残す場所です。都議会でも「青海(あおみ)」は「あおみ」か「おうみ」かと呼び方を困る方がいるような認知度が低い地域です。これを機に地域の知名度を上げて、繁栄の拠点作りへと頑張っていくべきです。
色々な考え方があると思いますが、私は潜在能力が高い地域はその能力を十分に引き上げて、東京や日本の活力を向上させる原動力とすること。これが、経済も押し上げて税収も上がる。そして、上がった分の税収を本当に必要とする方々にお届けするのが今、私達に課せられている使命と思っています。
その観点から、今回のオリ特委ではリオデジャネイロの経験を十二分に活かして東京大会を大成功に導く為に今ある乗り越えなければならない幾つかの壁や課題について議論をしました。また明日、その内容を記します。
編集部より:このブログは東京都議会議員、川松真一朗氏(自民党、墨田区選出)の公式ブログ 2016年11月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、川松真一朗の「日に日に新たに!!」をご覧ください。