【映画評】ソーセージ・パーティー

渡 まち子
Sausage Party (Blu-ray/UV)

郊外にあるスーパーマーケット。食材たちは、人間に買われることを夢見て暮らしていた。ソーセージのフランクもまた、恋人のパン、ブレンダと結ばれ、ホットドッグになる運命だと信じていた。二人そろってカートに入れられた時、ついに夢が叶うと喜んだが、アクシデントが発生し店に取り残されてしまう。だが、いずれ人間たちに食べられてしまう運命を知って愕然。やがて食材たちは、人間への反撃を始めるが…。

人間に買われることを夢見るスーパーマーケットの食材たちが、自分たちが食べられる運命だと知ったことで決死の逃走劇を繰り広げるコメディー・アニメ「ソーセージ・パーティー」。アニメにして堂々のR15指定ということで、内容はかなりキョーレツだ。セリフはエロい、描写はグロい、下ネタ満載、下品でくだらないノリは、なるほど良い子のお子様には見せられない。ソーセージとパンが“合体”し、ホットドッグになると信じていたフランクとブレンダにとって、人間から食べられる運命など、とうてい受け入れがたいものなのである。ただ、笑いのツボが違ったらしく、最初はクスリと笑えても、終盤には食傷気味(食材だけに…)になる。ラストのトンデモないパーティーにいたっては、カンベンしてほしいという気分だった。とはいえ、こんな恐れ知らずのアニメを作って公開してしまうアメリカ映画の懐の深さもまた再認識してしまった。最高にくだらない映画だが、そのくだらないという言葉が誉め言葉になってしまうところが素晴らしい。スーパーの食品に自意識があって、巨大スーパーマーケットが世界の縮図のようになっているという設定が興味深い。そこには、アメリカだけでなく、インドや中国もあって、絶妙な力関係で共存しているのだ。各国の食べ物が仲良く暮らすスーパーは、すべての人種が平和に暮らす理想郷。もしかしてそんな深いメッセージが…あるワケないか(笑)!低い点数をつけているが、これはもちろん褒めている証だ。
【20点】
(原題「SAUSAGE PARTY」)
(アメリカ/コンラッド・ヴァーノン、グレッグ・ティアナン監督/(声)セス・ローゲン、クリステン・ウィグ、ジョナ・ヒル、他)
(下ネタ度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年11月17日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式Facebookより)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。