バグが17歳でデビューした最初のアルバム「ジェイク・バグ」は英国のアルバムチャードでナンバー・ワンとなった。それ以来、バグは“神童”といわれ、「ボブ・ディラン」の再現といわれてきた。

そのバグが大の日本ファンで、「源氏物語」を読んだりしていると聞いたので、音楽関連の質問をする前に聞いてみた。バグは「本屋で見つけ、著者と本のことについてちょっと読んでとても興味を持った。中世時代の日本が舞台で、その中にある詩で宮廷の生活がイメージできる。その時代の人間の生活が分かるのはクールで面白い」

英国ノッティンガム生まれのジェイク・バグはサッカーが大好きな平均的少年だったが、12歳の時、米国のシンガーソングライター、ドン・マクリーン(Don Mclean)のヴィンセント(Vincent)を聴いて感動、「僕も人の心を慰め、感動させる曲を作りたい」と思ったという。12歳の時、ヴィンセントに感動するところは、バグが普通の子供ではなかったことが分かる。それ以来、ギターを常に傍に置いてきた。バグのギターの演奏力は卓越しているといわれる。その能力を生かしてこれまで多くのソングを作曲してきた。

「僕は一定のスタイルには拘らない」という。実際、第3アルバムにはさまざまな形式が入っている。今までのファンの中で3番目のアルバムを聞いて去っていった人もいるが、これまで以上に若いファン層がコンサートを聴きにきてくれるようになったよ」という。ちなみに、第3アルバムの中で最も個人的なソングは‘Never wanna dance’という。「自分にとって寂しい曲だ。しかし、個人的な思いが込められた曲だ」ということを初めて明らかにしてくれた。

音楽以外の芸術では絵画に惹かれるという。「さまざまな解釈が自由にできる芸術が好きだよ」という。ヴィンセントでシンガーソングライターの道を行こうと決意したというだけに、絵画にも特別の関心があるのだろう。

会見が終わって、コンサートのチケットにサインをお願いしたら、バグは「チケットを買ってくれてありがとう」といって喜んでサインをしてくれた。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2016年11月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。