トランプ氏の大統領就任直後のTPP離脱宣言に腰を抜かしている向きが多いが、トランプ氏が日本等の説得でTPP離脱方針を撤回してくれるなどと期待していた人が永田町や霞が関に多かった、ということだったらトンデモナイことである。
要路にはそういう人しかいないというのであれば、遠慮なく人を代えた方がいい。
何事も自分たちの都合のいい方向に転がっていくはずだ、などと、自分の希望的観測に基づいて戦略を樹てる人に頼っていると、日本は大きく進路を誤ってしまう。
今の日本は、言わば羅針盤を失ったようなものである。
急ごしらえの羅針盤を持ってきても、それが使い物になるのか、本当に頼りにしていいものか分からないだろうが、多少工夫すればそれなりの羅針盤を見付けることぐらいは出来るだろう。
間違った方向しか示さない羅針盤は、とりあえず外した方がいい。
羅針盤がないと何かと不便で、不安になるだろうが、羅針盤がなければないなりに人は慎重、かつ細心に歩を進めるようになるはずだ。
確かに進むスピードは格段に落ちるだろうが、間違いを是正できないほどに遠くまでは行かない。
今は、羅針盤そのものを変える時である。
アメリカがTPPから離脱して世の中が終わるわけではない。
むしろそこから、あらゆる面での2国間交渉というタフな世界が始まる。
TPPの場合は、一度TPPに入れば、後はすべてTPPのルールでやればいい、ということだったが、もはやTPPの単一ルール、統一ルールの適用はなく、その都度当事国の間で個別ルールを作らなければならなくなるのだから、まずは2国間のルールを作るためのタフ・ネゴシエイターが必要になるということだ。
今の外務省や経産省にどれだけの適任者がいるか、ということになると甚だ心もとない。
どうやら、こういうことに強そうなビジネスマンや国際弁護士が大量に必要になりそうである。
一億総活躍の前に、まずはこういうことに強い人材を大量に登用する必要がある。
私の率直な感想である。
官邸の方々は、早く方針を切り替えたらいい。
やるなら、今である。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年11月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。