1ドル=113円で外貨投資は「手遅れ」と思っている人へ

円安・株高が進んでいます。ドル円為替レートで見ると気が付けば、今朝時点で1米ドル=113円台に入っています。アメリカ大統領選挙の開票の際に一時的に円が急騰し、100円を割れるかと大騒ぎしていた頃とはすっかり様変わりです。

私自身も海外不動産やFX(為替証拠金取引)を通じて外貨資産をそれなりの比率で保有しています。FXの取引画面を見ていると、米ドルの買いポジ ションの評価損益がわずか2週間で急激に改善しています。10万ドル(約1000万円)のポジションで為替が100円から110円になれば円安になれば 100万円の評価益が増えることになります。100万ドル(約1億円)なら1000万円。1000万ドルなら何と1億円です。

一見良いことのように見えますが、円で保有している資産は円安で実質的な資産価値は下落していることになります。金融資産100万円は100万円の ままでも、1米ドル=100円なら1万ドルの価値があったものが、110円になれば約9000ドルになってしまうのです。海外に行くとその価値の下落を実 感できると思います。

株価というのは企業価値の増減を反映したものですから、例えばTOPIX(東証株価指数)が上昇すれば、世界の富は増加していくことになります。

ところが為替というのは通貨の交換比率ですから、どちらに動こうとも世界全体の資産の価値には変化は無いのです。ただ、どの通貨で保有しているかによって、資産が実質的に増える人と実質的に減る人が出てくるだけです。

円安が日本の株高につながることから、円安を好感する人が多いのですが、日本人の個人金融資産の95%以上は円に偏っています。円安になれば、資産 のほとんどを占める円の価値が下落し、日本人の富は減少します。さらに多くの日本人と同様、私の現状の収入(インカム)は海外不動産の家賃以外はほとんど が円で受け取っています。円で受け取るインカムも実質的に減少しているのです。

そうならないためには、外貨資産もバランス良く保有することが必要です。

113円になって今更手遅れだと思っている人もいるかもしれません。しかし、現時点で円高になると強い確信があれば別ですが、現状の113円からさ らに100円になるか126円になるか予想出来ないというなら、今からでも外貨比率を高めるのが理にかなった投資行動と言えます。これから外貨を保有して 円高になれば後悔すると思うなら、外貨を保有しないまま円安がさらに進んだ場合を想像してみてください。

「外貨投資」というと円から資産を外貨に移動させるイメージがありますが、「資産配分」という視点で考えてみましょう。カジノのルーレットにチップをどのように張るか考えるイメージです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行います が、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年11月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。