南スーダン資料を一転公開 黒塗りは現地報道の情報のお粗末(笑

清谷 信一

ブルームバーグから引用(編集部)

南スーダン資料を一転公開 黒塗りは現地報道の情報
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201611/CK2016112402000131.html

防衛省が今年六月、表題以外をすべて黒塗りにして開示した陸上自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)に関する作成資料を今月公開し、内容が現地報道を基に反政府勢力の「支配地域」を示した地図だったことが分かった。現地で公になっている情報まで黒塗りにする姿勢に、野党は「こんなものまで隠すのか」と批判している。

これは逆に言えば、防衛省の出す資料はその程度ということです。
新聞の切り抜き程度です。
現地の情報に関してまともな情報源がない、ということです。
これまで情報収集に手を抜いてきた結果でしょう。

でも新聞だからまだ良いじゃないですか。ウィキペディアとかじゃなくって(笑

何度も書いておりますが、陸幕装備部は拙著「防衛破綻」の正誤表を作りましたが、それはウィキペディアやヘタをすると素人のブログやら2ちゃんねるあたりを参考にしたトンデモでした。しかもぼくが一番基にしていた数字の間違いが一箇所あったのですが、それは正誤表に入っておりませんでした。

このため正誤表の「正」の方が多数間違っており、抗議をしたら54箇所のうち51箇所を間違いではないと訂正しましました。しかもそのうち2箇所は単に国交省との見解の違いでした。

いうまでもないことですが、大学のレポートだってウィキペディアの引用なんか認めていませんよ。
つまり防衛省の資料は大学生以下、良くて高校レベル、あるはそこいらの軍オタのブログ程度のレベルということです。ところが、こういう資料を元に財務省とか、永田町の先生方に説明をしているわけです。
財務省も防衛省からの説明は眉唾で聞いたほうが宜しかと。

この件は小野寺大臣の時代に会見でも公開を要求したのですが、内部資料であることを理由に公開を断られました。ですが、普通考えれば単なるメモ程度の内部資料が何故公開できないのか。

公開すると防衛省、自衛隊の権威が失墜するとでも思ったのでしょう。

ですが、この件を公表せずに、関係者も処罰されなかったので、その後も防衛省ではウィキペディアとか、怪しげなネット情報などで資料作っているようです。

今年度に公開された防衛省の行政レビューの有識者への資料も陸自のファーストエイドキットと米陸軍のキットを比べるところを空軍のキットと比較しています。恐らく担当者がネットなどで調べて空軍のJFAKをIFAKIIの改良型と勘違いしたのでしょう。ですがJFAKはIKFAIIを参考とはしていますが、地上の戦闘部隊を想定したものではなく、それまでバラバラだったエアクルーや、基地要員などの職種別のキットを統合したものです。これをIFAKIIの改良型の最新版と勘違いしたのでしょう。陸自のキットと比べるのであれば、IFAKIIと比較すべきでした。

その他用語でも多くのミスがありました。
更に申せば、弾薬の英軍の取り組み例では英軍が弾薬を全部国産でやっているかのような、嘘までついています。ですが英国防省は40ミリグレネードはシンガポールのSTキネティックなどから調達しています。国内では作っておりません。
単に知識がないのか、自分たちに不利なことは有識者を騙そうとうと思ったのかはわかりませんが、どっちにしてもプロも仕事としてはトンデモなレベルです。最近は面白いのでこういう事例を他国の軍隊や国防省関係者に教えて上げております。

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
「駆け付け警護」は自衛官の命を軽視しすぎだ
http://toyokeizai.net/articles/-/146208

駆けつけ警護に関してJapan In Depth に以下の記事を寄稿しております。

自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その1 情報編
http://japan-indepth.jp/?p=31070
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その2 火力編
http://japan-indepth.jp/?p=31120
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない。その3防御力編 前編
http://japan-indepth.jp/?p=31185
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その4防御力編 後編
http://japan-indepth.jp/?p=31379
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その5戦傷救護編
http://japan-indepth.jp/?p=31436


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2016年11月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。