有明アリーナが超VIPの集まる施設になれば良い

川松 真一朗

こんにちは。東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。

川松@BSフジ

BSフジ「プライムニュース」より(編集部)

私がブログやBSフジで「有明アリーナ」を推している事に対して、「税金の無駄使いとは思わないのか?」「今後のビジョンは明確にあるのか?」などのご意見を頂きますので、今日はこの点について述べたいと思います。

その前に、小池都知事が定例会見やその他のメディアで最近触れているのが民間活用という考え。選択肢の一つとして挙がるのは当然だと思いますが、民間活用、コンセッション方式という言葉を口にされました。これはいわゆる公設民営方式で、つまりは施設の所有権は都に帰属した状態で、公共施設等の経営を民間が行うことであります。利用料金は契約の中で決めていくことになりますが、もし仮に一部報道で出ているように資金を出しても良いという民間企業などがあるとすれば、この「有明アリーナ」が収益に繋がるという一つの望みではないでしょうか。もし、この方式が採用されるならば、しっかりと透明性が確保される中で相手を選ばないといけない。時期が来た時にはしっかりと議論していくつもりです。後段でより詳しく私の見解を述べます。

有明アリーナ

有明アリーナ完成予想図(都のサイトより:編集部)

さて、上山顧問が有明アリーナは年間2億円の赤字という試算を出しており、この数字が一人歩きしています。ここもじっくり掘り下げていくと、65年間に修繕費が294億円かかるという試算を基にして年間4億5000万円かかるとされています。それに対して、都側が言っている年間の収支は2億5000万円の黒字。差し引きで2億円の”赤字運営”になるとしています。

ここから更に掘り下げると、都側が2億円5000万円という黒字見込みもかなり控え目な計算根拠でした。実はこの都側試算を調査したところ、ここでのコンサート使用は100日計算です。この日数を増やしていけば当然黒字幅は大きくなりますが、基本はスポーツ施設として建設し、競技団体とも「床」を巡って激しい折衝を繰り返して来た事からスポーツ界に配慮した試算だったのでしょう。ですので、一方的な2億円の赤字という事に対して、私は活用の考え方次第でいくらでも黒字になると言い切っているのです。真の公益性があるような仕組みになるのか?ブログ読者の皆様には一緒にチェック&バランスを実践させて頂きたいなと考えています。

さて、私の有明アリーナの「夢と希望溢れる」プランを本日初めて公開します。これも繰り返しの論調になりますが、有明北地区は未来に向かって大きく変貌を遂げる地域です。この近くには超大手ディベロパーが高級感のある大型商業施設ガーデンシティ(仮称)を建設していく予定になっています。また晴海通りを挟んで反対側の仮設の体操競技場が2020年大会後、取りあえず10年間は「中小企業を応援する」展示場等への活用で存続します。しかも、すぐ近くには映画撮影等のロケ地にもなるという東京有明医療大学もあるなど環境はバッチリなんですね。

スポーツは経済活性化に繋がるというのはよく知られています。例えば、馬の世界。馬のオーナー達はVIPばかりです。ですから、馬場の近くにはホスピタリティ施設があり、戦いが終われば一転して社交の場においてビジネス交流なんていうケースがあります。リオデジャネイロオリンピック閉会式でも競技場の中には企業が用意したホスピタリティルームを目撃し、ラグビーワールドカップ・イングランド大会でも会場周辺において同様施設がありました。また、超有名なところで言えば、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでボクシングのスーパーマッチが行われる際にも自家用機でVIPが集まってきます。

つまり、「有明アリーナ」はその中身の充実を図る事で大きな商談の機会を探れる地であるわけです。また、こういう事を言うと机上の空論だと指摘される方もいるかもしれませんが、TOKYOの魅力は私達が思っている以上に世界が知っています。当然、有明アリーナの位置付けを最初からどこに設定するか?本当に、MSGやロンドンのO2アリーナレベルにしようと皆が一致団結して整備に取りかかるのか?それとも、それなりで良いと考え大きな可能性を秘める施設を普通の体育館にしてしまうのかは、皆さんが私のような議員にお力を貸して頂き、共に世論に訴えて下さるかです。

実は新国立競技場構想(ザハ案)がポシャってしまった時に本当に悔やみました。それは、上記のようなホスピタリティをどう考えるのか?という点で、自分自身は情報発信もしていなかったし、ラグビーワールドカップの盛り上がりを1人でも多くの方に伝える事も出来ていなかった事によります。イングランド大会でエディジャパンが大活躍した事で、ザハ案でも良かったという声を頂きましたが、実はキャパシティの問題と同じくらいホスピタリティも今後の大規模スポーツ施設では大切なんだという事を問題提起・政策提言出来なかった事を悔やんだわけです。

そこで、私がここ数年言い続けている「繁栄の拠点」としての有明北地区を目指す中で、世界のVIPが集う街TOKYO・ARIAKEを実現出来ればアリーナへの投資も無駄にはならないはずです。アリーナでのゲーム観戦に訪れた人、あるいは世界的なビッグアーティストのライブに訪れたアジアをはじめ世界のVIPがイベント前には近隣の施設で日本企業の面々と交流をする。体操競技場の後施設やビッグサイトで日本産業の展示会でのマッチングもあるかもしれません。そして、臨海部あるいは銀座周辺でパーティーなどに出席して、有明アリーナへと向かう導線。またイベント修了後には日本側のおもてなしが続いていく。その中で、日本企業が思わぬビッグチャンスを得ることで、東京や日本は一段と成長してく成功モデルを描けるのではないでしょうか。

顧問団は一流のコンサルタントとして、現実的な数字の計算の中で収支に見合った政策提言を小池知事にされているのでしょう。一方で、私は「任期を超える無限の理想への挑戦」として政策提言するのが政治家の本懐だと思っています。

そこで、小池知事が定例会見で述べた「民間活用」に対しての私の見解です。今の横浜か有明かという二者択一の局面とは切り離して考えるべきです。民間活用はこの施設を大きく発展させる為に大きなパワーですが、組む相手次第で如何様にもなります。ただ、黒字にすれば良いという事だけでなく、この施設をきっかけに想像を超えた富を東京や日本にもたらしてくれる仕掛けを展開出来るような民活をと考えます。羽田空港のプライベートジェット離着陸も充実してきただけに、とても大きな視点から考えたいなという事です。ある意味において、国家的なプロジェクトの後押しも必要かもしれません。しかし、東京都が本気になればそれだけの起爆剤と成り得るのではないかと。ワイズペインディングを掲げる小池都政と夢と希望を論じたいなと思うものです。ケインズの哲学もそこにあるのではないでしょうか。

有明北地区から有明地区を、有明地区全体から臨海地区を見つめていく俯瞰の目にはMICEとの絡みもアリーナには出てきます。近隣に生まれるガーデンシティにはホテルも出来れば外国時富裕層をターゲットにしたサービスアパートメントも出来てきます。小池知事が掲げるセーフ・シティ、ダイバー・シティ、スマート・シティという3つのシティの発信拠点として正に持続発展的に成長していくTOKYOの顔になるのではないでしょうか。私自身は東京の夢と希望を託した地域です。

今日はこれで最後にします。私はただただ純粋に、オリンピックを契機に世界で一番の都市・東京を実現させる為に有効な策というのは惜しみなく繰り出していきたい。当然、議会人として多数の賛同を得られなければ成し遂げられない事ではありますが。そして、諸外国のようなスポーツも各地域の文化を形成する一つの要素として日本も認識が変わっていったらいいなと思うのです。正に、オリンピックは絶好の機会だからこそ。未来への投資で、その何倍もの効果を東京へと考えています。


編集部より:このブログは東京都議会議員、川松真一朗氏(自民党、墨田区選出)の公式ブログ 2016年12月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、川松真一朗の「日に日に新たに!!」をご覧ください。