年齢序列という罠

高さが異なる2つの容器。
どちらに多くの液体が入っているでしょうか??

高い方!
と即答した方は、ちょっと物事を表面的に捉えすぎかもしれません。

答えは、もちろん「分かりません」。
高くても、奥行きがなければ十分な液体は入らないからです

ところが、社会人の人事の世界では、未だに年齢という「高さ」を一番の目安として管理職が登用されることが少なくありません。

どれだけ仕事に積極的に取り組んできたか、自分で考えて行動してきたかによって、社会人としての奥行きは何倍も、何十倍も、何百倍も異なってきます。仮に年齢という「高さ」は低くても容量が大きい方はたくさんいます。

そして、問題なのは、薄い経験しかない人がトップに立つと、部下や周りも薄くしてしまうということ。逆に年齢という「高さ」は低くても濃い経験があれば、部下や周りも濃くしていくのではないでしょうか。

もちろん年齢序列にも一定の効果がありました。

例えば、かつての公務員。
ほぼ同等の能力・経歴を持った同期が一斉に新規採用されたならば、年齢序列(年次)により登用した方が、組織の中で無用な軋轢を生まないだけでなく、終身雇用制のもとで出世レースが決まるまでの長い間、みんなのモチベーションを維持することができます。

でも、それは、組織としての目指すべき方向性や、個々人の働き方がほぼ画一の場合に機能すること。今のように、これらが多様化してくると、年齢序列の効果は、ほとんどないのではないでしょうか。

悪貨は良貨を駆逐する。

むしろやる気のない上司の弊害の方が大きいように思います。年齢序列になりがちな公務員の登用も見直すべきときを迎えているのではないでしょうか。

長島町役場では既に採用時の年齢制限を実質的に撤廃し、人物本位の採用を始めていますが、これからは人物本位の管理職登用も行っていきたいです。

<もっと知りたい!>
どうしても仕事をしたくない公務員に伝えたい「安住というリスク」



<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68458684.html

公私一致」という働き方
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68507744.html


編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年12月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。