衆議院の自民党の国対は、どうも大きな間違いをしているようだ。
この法案が通ってしまった後に国民の間からどんな反発が返ってくるか一切考慮していないような、ずいぶん世論に無頓着な乱暴なことをやっている。
いくら安倍内閣に対する国民の支持率が高いと言っても、一旦国民の信を失ったら釣瓶落としのように支持率が低下していくことがある、ということをご存知ないのだろう。
来年1月の衆議院の解散・総選挙などない、とでも高を括っているのだろうか。
ずいぶん危ないことをやるものである。
おりゃ、知らねー。
そう叫んで布団を被ってしまうような人が現れてもおかしくないような事態になっている。
まあ、これを強行採決だと見做すかどうかは立場によって様々だろうが、審議を尽くしたか、十分国民が納得するような議論がなされ、その議論の成果が法案の中身に十分に盛り込まれたか、ということになると、まったくそういうところは見えない。
およそ問題点についての解決の方向性を具体的に示す程度にまで至らない、未熟な法案だと言わざるを得ない。
なんだ中身の検討は官僚に丸投げするだけの、役所尻叩きだけの、プログラムとも言えないプログラム法案か、ということになる。
こんなプログラム法案を作られたら、役所の方は困るだけである。
中身を決めるのは、国会議員の方たちでしょう、私たちは中身までは決められませんよ、こんな手抜き法案は作らないでください、と真面目な役所の人たちなら言いたいはずだ。
まあ、内閣人事局に人事を握られてしまっているから役所の方々は何も言わないだろうが、議員立法と言ってもこれはいただけない。
あれ、あれ、あれ。今の国会の劣化はちょっと酷すぎるぞ。
そう、言いたくなる。
まあ、良識の府である参議院に行けば少しはまともな議論がなされるのだろうと思うが、国民のコンセンサスがまだないのに、こんなプログラムとも言えないプログラム法案を作ろうとするのはあまりにも乱暴すぎる。
どんな法案か。
世間ではカジノ法案と言っているIR法案である。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年12月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。