金利が上がっても上がらなくても「お金は借りた方が良い」と思う理由

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昨日は、赤坂で日本不動産投資アドバイザリーのウィンターパーティーでした。オシャレなパーティスペースでの懇親会の前に、2017年の資産運用戦略というテーマで、ご来場の皆さまに講演させて頂きました(写真)。

来年も基本のアセットアロケーションは変わりません。その中で、国内不動産については借入をして不動産の賃貸収入とローン金利の「金利差」から収益を狙うべきとお話しました。不動産の賃貸利回りと借入金利には都内の中古ワンルーム投資でも3%以上の金利差があります。

現在は超低金利の中、国内の金融機関が貸出競争を行っています。しかし、この環境はいつ変わるかわかりません。来年突然金融機関の融資姿勢が変われば、思ったように借入が出来ないことも考えられるのです。お金を返すのは自由ですが、お金を借りるのは不自由になることがあるということです。

しかし借入をしたいと思っても将来の金利の上昇を心配している人がいます。金利差が縮小して逆転したりすれば、家賃だけではローンの支払いができなくなってしまうという懸念です。

そこで借入して不動産投資をした場合の将来シナリオについて、2つのパターンを考えてみました。

<シナリオ1> 現状の低金利が継続
メインシナリオとして考えるべきなのは、現状の国内の金融政策の継続です。日銀は9月に「イールドカーブコントロール」という新しい考え方を提示し、10年国債の金利を0%前後になるように管理しています。この政策が機能する限り、金利が上昇することは考えにくいと言えます。借入によって金利差からの恩恵を引き続き享受できます。

<シナリオ2> 金利が上昇
日銀は万能の神ではありませんから、失敗するかもしれません。もし、イールドカーブがコントロールできなくなって、日銀の意に反し金利が上昇し始めたらどうなるでしょうか。金利上昇を抑え込むことができなくなる事態は、日銀に対する市場の信認が無くなったことを意味します。また政府の国債の利払いに関する懸念も増大し、財政赤字問題が大きくクローズアップされるでしょう。日銀の信認低下は日銀券の価値の下落につながりますから、インフレを導き、円安も進むことが予想されます。

シナリオ2では、ローン金利も上昇するかもしれませんが、その前にインフレ懸念から不動産価格が上昇すると予想します。現金で不動産を購入してもインフレの恩恵は受けられますが、借入をすれば、その効果をさらに大きくできるのです。金利上昇のデメリットよりもインフレによるメリットが大きくなる可能性が高いと思っています。

現実のマーケットは2つのシナリオに分けられるほど単純では無いかもしれません。しかし、どちらにしてもお金は借りた方が良いと言うのが私の今の考えです。

問題は、投資する物件がなかなか見つからないこと。今年、個人的に投資できたのは国内不動産では1棟だけでしたが、来年も引き続き日本不動産投資アドバイザリーが紹介してくれる未公開投資物件から投資対象を探していこうと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年12月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。